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【あきない世傳金と銀1 源流篇】田舎娘の奉公先は反物屋【髙田郁】

『あきない世傳金と銀1 源流篇』文庫表紙

『あきない世傳金と銀1 源流篇(髙田郁 著)』の感想レビュー。

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あらすじ

物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。
父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。
慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。
果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か―大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!

感想

享保十六年(1731年)頃、武庫軍津門村(現在の兵庫県今津町あたり)に私塾『凌雲堂』で子供たちに読み書きを教えている一家の二女幸(さち)。
農作業をする傍ら、父の授業を覗いたり、兄から読み書きを習ったりしており、学ぶ楽しさを知り知識欲が膨れていった。

農作に勤しみながら暮らしていたもののとある年、
虫害や冷害、猛暑からの水不足などで収穫は激減。
近くを流れる川からの恵みで暮らしていたものの、ひもじい生活を余儀なくされてしまった。

家族全員、飢饉は乗り切ったものの、
飢饉後は栄養不足から疫病が蔓延しやすい。

幸の兄雅由もそんな状況から亡くなってしまった。
優秀な頭脳を持ち、跡取り息子だった雅由を失った父は落ち込んでしまう。

それが祟ったのか、父も兄の後を追うように亡くなってしまい、『凌雲堂』の経営は共同出資者の手に渡り、
共同出資者の恩情により、母と妹は別の場所で住み込みで働き、
幸は9歳だったので奉公に出されることになった。

幸の奉公先は、大阪の『五鈴屋』。
反物を扱う老舗なのだが、
栄華の時代、元禄バブルは過ぎ去り、
享保の時代は質素倹約の時代。

派手な反物は売れず、売れ行きもあまり良くないお店だった。
挙句、長男で四代目店主の徳兵衛は、遊郭にハマり店のお金に手を出す。
遊郭遊びを止めさせようと妻を娶っても遊郭遊びを止められなかった徳兵衛。
商才に富む次男の兄に対する不満。

組織の上層部が荒れており、五鈴屋の経営もかなり厳しいような状況。

そんな中、番頭の治兵衛や三男智蔵に知識欲を評価され、商売のノウハウを少しずつ教えて貰う幸。
この先、幸はどうなるのか?傾いた五鈴屋は再興できるのか?

感想の感想

幸が方向に出た辺りでは落ち目だけどなんとかなりそうだった五鈴屋。
菊栄が離縁した辺りで一気に潰れそうな雰囲気を醸し出してきた。

どうしようもない状況だからこそ、変革が起こるわけで、
『女性が商いをするのはおかしい』
という常識をどのように破り、五鈴屋を再興していくのか?
続きが楽しみです。

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