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【むかしむかしあるところに、死体がありました。】昔話を背景にしたミステリ小説【青柳碧人】

『むかしむかしあるところに、死体がありました。』ソフトカバー表紙

『むかしむかしあるところに、死体がありました。(青柳碧人 著)』のレビュー。

もくじ

あらすじ

昔ばなし、な・の・に、新しい!
鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?
大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!
ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの
《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといった
ミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!
「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」
「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。

感想

馴染みのある昔話を大幅アレンジしてミステリに仕上げている短編集。
新説昔話ではなく、完全なるオリジナルストーリー。
また、昔話ならではの小道具を使っているのも面白かった。

あと、ミステリの定番(ダイイングメッセージ、密室、叙述、クローズドサークル)も抑えている。

個別紹介

一寸法師の不在証明

一寸法師が鬼を退治したのを評価され、貴族の娘と結婚する話。
一寸法師が貴族になるのと同時に、貴族の隠し子が殺されていた。
正当な血統がいると一寸法師が党首になれないから一寸法師が隠し子を殺害した!?

けど、殺害当時、一寸法師は鬼の腹の中だったし・・・

打ち出の小づちが殺害のカギ。
このギミックをどう使ったのか?
そして、その副作用で残してしまった決定的証拠とは?

花咲か死者伝言

花咲か爺さんは人が良く、善良な村人。
その飼い犬の白が小判を掘り当てたことから事態は一変する。

意地悪爺さんに難癖付けられて、
犬は奪われるわ、
犬は殺されるわ、
遺灰は奪われるわ
するものの強く出れないでいた。

花咲か爺さんは無欲な人で、
犬が小判を掘り当てても寄付してしまうし、
木に花を咲かせて得た褒美も寄付しようとしてしまう。

そんな折、花咲かじいさんは早朝に出かけた先で殺されてしまう。
手にはナズナの葉を握りしめたまま。

このナズナはダイイングメッセージ。
村人たちは花咲か爺さん殺人の犯人を捕まえることができるのか?

つるの倒叙がえし

弥兵衛の両親は庄屋に借金をしていたが、両親が相次いで亡くなってしまう。
庄屋は親の借金は子の借金ということで弥兵衛に返済を求めるものの、弥兵衛に返り討ちにあって・・・

弥兵衛は庄屋を押し入れに隠す。
そして、以前弥兵衛が助けた鶴が訪ねてきて、織物を作ってくれる。

鶴「機織り中は絶対に覗かないでください」
弥兵衛「押し入れのなかは絶対覗くなよ」

いったいどうなってしまうのか?

まさかの叙述トリック!
現在と過去が交錯する・・・!

密室龍宮城

竜宮城の地図が描かれたりしていて本格ミステリっぽい構成。
竜宮城の冬の間でおいせが殺されていた。
部屋の入り口にはカギがかかっており、
窓にはサンゴがびっしりで破壊して侵入すればその後がはっきりわかってしまう。

犯人は一体誰なのか?
時の止まっている竜宮城で突如現れた中年オヤジは一体だれ?

絶海の鬼ヶ島

桃太郎に成敗された鬼の子孫たちが暮らす離島鬼ヶ島。
そこで起こる殺人事件。

鬼たちは疑心暗鬼になりながらも犯人を捜すが、
一人また一人と殺されていく。

鬼は最後に全滅してしまう。
犯人は一体だれ?桃太郎が再びやってきた?

事件を最後まで見ていたカモメが語る真相とは?

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