ノンフィクション

【ヴィクトール・エミール・フランクル】【夜と霧 新版】大量虐殺アウシュヴィッツ収容所から生き残った人間の体験記

夜と霧 新版(ヴィクトール・エミール・フランクル 著 池田香代子 訳)の感想、レビュー。

もくじ

本の紹介

アウシュヴィッツ強制収容所というものを知っているだろうか?
ナチスドイツ、ホロコースト、大量虐殺・・・
キーワードを聞くと何が行われていた施設かピンと来る人も居ると思う。
この本は、被収容者番号119104こと、心理学者のV・E・フランクルが
強制収容所の内部から心理学者の目線から見た体験記である。

アウシュヴィッツ収容所の実態

強制収容所に到着すると、まず、女子供と男に分別される。
男性は、さらに健常者とそうでないものにわけられ、
労働力にならない人間は、健常者以外の人間(女子供含む)ガス室に送られ殺害される。
毎日、少ない食事で強制労働を行い、劣悪な環境で死病者続出。
病気になって、労働出来なくなるとガス室送りになるので皆、限界まで病気を隠す・・・

著者は、1944年10月にアウシュヴィッツに送られ、1945年4月にソ連連合軍により開放されている。
収容所で生き残ったのは、著者のように末期に収容された人たちのほんの一部のみで、ほとんどの人間が死に絶えている。

感想

極限状態での精神状態、その中で、生き残る人、生き残るすべ、希望・・・
逆に、死んでしまう人、病気に勝てない人、自殺してしまう人・・・
その違いの分析や、実践など現代社会でも通用すると思う。
うつ気味、将来に希望が持てない人、元気が無いとか、そういった人が読むと、
なにかしらの道しるべになってくれるかもしれない。
読み応えのある内容だった。

ナチスドイツ、アウシュヴィッツ収容所、ホロコースト
このあたりの歴史を調べておくとさらに理解が深まる。
覚悟を持って読んで欲しいオススメの一冊。

旧版と新版の違い

月ウサギさんの読書レビュー』さんから抜粋

新版を読み、かつて旧版で読んだ時の違いに衝撃を受けました。
旧版にあった70ページにわたる「解説」と「写真図版」という資料がまるまる削られていたのです。

!?
衝撃・・・
時代の流れで掲載不可なくらい凄惨な写真なのだろうか?

この資料の全面削除には残念な気がしました。
捕虜となった人々から奪ったものが何だったのか。
それは、写真のほうが多くを語っていたように思えたから。
ガス室の写真に添えられたコメントの重み。
私はといえば、累々たる屍よりも、打ち捨てられた大量の眼鏡にリアリティを感じてしまいました。

フランクルの理性的で抑制の効いた言葉を読むだけでは、
この極限状況は想像しきれないのではないでしょうか?

奪われたのは自由なんかじゃない。
人間の尊厳そのものだということが。

この部分をよんで旧版も読みたくなってしまった。

新版

旧版

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