小説『熱帯(森見登美彦 著)』の感想レビュー。
あらすじ
汝にかかわりなきことを語るなかれ――。
そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。
この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?
秘密を解き明かすべく集結した「学団」メンバーに神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと「部屋の中の部屋」・・・。
幻の本をめぐる冒険はいつしか妄想の大海原を駆けめぐり、謎の源流へ!
感想
『熱帯』という小説の正体をめぐる内容。
面白かった。という感想はあるんだけど、最後まで読めなかった『熱帯』をふと思い出す主人公。
それを、お店にくる常連の一人に話すと彼も『熱帯』を知っていた。
「熱帯はね、最後まで読めない本なんだ」
不思議なセリフとともに、『熱帯』の物語を補完し合っている『読書会』に呼ばれることとなる。
読書会では、各々の記憶にある『熱帯』のストーリーを補完し合って、『熱帯』を完成させよう!
という集まりで、メンバーが入れ替わらずネタ切れになっていた読書会に新風を巻き起こすと期待される主人公。
主人公が話す『熱帯』に何人かは影響をうけ、それぞれの『熱帯』を完成させていく・・・
というか、『熱帯』に取り込まれたの?行方不明になる。
そして、四章。
いきなり精神世界?の話になる。
佐山正一の精神世界?で、そこで起きた出来事が『熱帯』の内容になっている。
登場人物は、読書会で失踪した人物だったり、作中に登場した人物だったり。
僕の理解度が追い付けないので置いてけぼりな印象。
なんか、難しかった・・・
印象に残っていることば
「それきり読んでない。いまでも『みみしっぽう』は謎のまま」
「もう一度読んでみようとは思わないんですか?」
「それはイヤだね。
だって『みみしっぽう』の正体がつまらないものだったら、俺の子供時代そのものが萎んでしまうような気がするから。
これは俺にとって大事な思い出なんだよ。
だから俺は今さらあの本を読もうとは思わないし、この階段や踊り場は自分が子供だった頃の雰囲気のままにしてある。
謎はそのままにしておくことが大事よ」
わかる!
昔読んだすっげー面白かった漫画とか小説をさ、読み返してみたら、あれ・・?
ってなったことがある。
思い出は思い出のまま美化しておいたほうがよい場合もあるよなぁ。