小説『旅のラゴス(筒井康隆 著)』の感想レビュー。
あらすじ
旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ。
集団転移、壁抜けなど不思議な体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅を続ける男・ラゴスの目的は何か?
北から南へ、そして南から北へ。
突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。
集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?
異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
感想
文明が一度滅び、人々が超能力を獲得した世界の話。
文明が滅んだ理由は語られないけど、核戦争?
それとも超強力な超能力が影響しているのかな?
超能力はそれぞれに開花していて、能力も様々。
・空間転移(ワープ)
様々な人が人が使える
情景を強く思い浮かべるとその場所に転移できる。
ただし、転移先の物体と重なると爆発する。
集団で行うと成功率アップ
・壁をすり抜ける
壁の先への欲求(空腹時の食べ物など)を全開にするとすり抜けることができる。
すり抜け中に集中が切れると壁と一体化してしまう。
一体化しても生命活動は行っているみたい。
どうすれば元に戻れるのだろうか?
見世物になっていたことからレア能力?
ラゴスは直ぐに会得していたから難しい能力ではなさそう。
やりきるのが難しいのかな?
・相手の気持ちを読む
相手の気持ちを読んだり、共感したりできる能力。
似顔絵師は相手が思い浮かんだ顔を描いたりしていた。
・空を飛ぶ
森の中を数cm浮いて移動することができた少女。
それに共感した馬が崖から飛び降りた時浮くことができた。
人も馬もやる気になれば飛べるのかもしれない。
”飛べない”という感情が邪魔しているだけで。
・相手から好意を受ける
作中では語られていないけど、ラゴスの能力はこれなんじゃないかな?と。
序盤でこそ邪険にされていたけど、最初の一話を除けば旅先で軒並み好意を受けてきた。
どこかで能力に開花したのかもしれない?
まとめ
小説としてはまとまりが無いように感じた。
終わり方も、目的を達成したわけではなく、
ラゴスの旅はこれからだ!エンド。
ラゴスがメインなんじゃなくて、旅がメイン?に感じた。
淡々と旅情を描いている本。
故に、『旅のラゴス』?
※『ラゴスの旅』ではなくて
旅をラゴスより上位に持ってきているような気がする。
旅行記なんかが好きな人は合う小説かも?