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【王国の崩壊】実際に起こった百貨店クーデター三越事件を描いた小説【高杉良】

『王国の崩壊』表紙

『王国の崩壊(高杉良 著)』の感想レビュー。

あらすじ

企業の論理かそれとも社会正義か?
老舗デパート丸越に入社し、社内の活性化につとめた社長室課長の菊池治夫だったが、
丸越はワンマン社長の寺本剛と女帝の武村さちの癒着で人心が荒廃、業績も低落の一途をたどっていた。
奮闘する菊池にとって社長秘書・山本由香との情事は一筋の救いだったが、寺本の専横は激しさを増し、
由香との関係も怪しくなって---
中間管理職の悲哀を描ききった企業小説の快作。

400文字感想

1982(昭和57)年に実際にあった三越事件を扱った経済小説。
小説内での各固有名詞は
実際:三越→小説:丸越
岡田→寺本
みち→さち
と、個人が特定できないような変更が加えられている中、
愛人の竹久さちだけ実際と一文字違いという・・・闇を感じますねぇ

内容は、1972(昭和47)年に百貨店丸越の社長となった寺本が会社を私物化し、
10年近くやりたい放題していたら、社内クーデターが起こり社長職を失脚してしまうというもの。
登場人物が多く、名前を覚えるのが大変。
さらに、名前と役職も紐づけようとしても、過去、現在、改定人事、左遷・・・と立場がかなり変わるので何が何やら・・・
もう、前後の文のニュアンスで読むしかないな。

自浄作用が機能する程度には会社はまともだったんだなと思う反面、
社長になるほどの敏腕でも権力の座につくとこうも愚王になってしまうのか・・・
いや、愛人の影響が強い・・・?
つまり、女は怖い(由香含む)。そんな小説。

感想

愛人の影響で会社を私物化したようなニュアンスで書いてあるけど、
女に溺れただけでここまで横暴になれるものなのかね?
元々にワンマン気質で暴君の素質があったんじゃないのかなぁ?
なんて思ってしまう。

映画の前売り券を押し付け販売したり、
偽物の宝石を売りつけたり、
施設内の店舗を突然退去させたり、
とやってることはとんでもないことばかり。
正しい意見を言ったものから左遷させられるのでみんな社長の太鼓持ちのようになっていく。
そんな盤石な寺本体勢なのにクーデターは起きてしまうんだなぁ

少しは誇張しているんじゃないの?なんて思い、Wikipediaの三越事件の項目を読んでみたけど、概ね事実。
てか、19億円の特別背任罪で逮捕されちゃってるのね。
最高裁まで争って懲役刑になっているし・・・
小説はそこまで描かれておらず、クーデター成功ちょっとその後辺りまでで終わる。

三越事件に興味がある人は、参考程度に読んでみると概要が分かるよ!

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