『あきない世傳金と銀8 瀑布篇(髙田郁 著)』の感想レビュー。
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あらすじ
遠目には無地、近づけば小さな紋様が浮かび上がる「小紋染め」。
裃に用いられ、武士のものとされてきた小紋染めを、何とかして町人のものにしたい
──そう願い、幸たちは町人向けの小紋染めを手掛けるようになった。
思いは通じ、江戸っ子たちの支持を集めて、五鈴屋は順調に商いを育てていく。
だが「禍福は糾える縄の如し」、思いがけない禍が江戸の街を、そして幸たちを襲う。
足掛け三年の「女名前」の猶予期限が迫る中、五鈴屋の主従は、この難局をどう乗り越えるのか。
話題沸騰の大人気シリーズ第八弾! !
感想
■小紋の真似
五鈴屋の小紋が売れに売れたのでそれを真似するお店が増えてきた。
従業員たちは憤りを感じていたけど、幸はそれを喜んでいた。
小紋染めを町人のものに、ずっと続く柄にするためには、五鈴屋だけの努力では駄目。
皆で盛り上げないと駄目なのだ。
五鈴屋は小紋染めでも負けない自信があるからこその台詞?
■麻疹が流行って反物が売れない
麻疹が流行り病となり、江戸で猛威を振るった。
そんな中、着物を買う贅沢なんて・・・
という訳で客足が遠のいてしまった五鈴屋。
江戸紫は痛みを和らげる。
鈴は悪霊退散。
反物を鉢巻にして売って欲しい。
という客の要望に応え五鈴屋は、江戸紫柄で鈴小紋の反物を鉢巻として売った。
裁断する手間を考えると加工にかなりの手間になってしまうが、
実子の病を少しでも和らげたい・・・
母親たちの気持ちを汲み、利益が出るギリギリで商売を行った。
■江戸店二年目終了
江戸店も開店してから二年が経過した。
幸が江戸に来てから三年。
客足は順調に伸びてきている。
来年はどんな年になるのだろうか?
■賢輔、五鈴屋八代目に?
五鈴屋の跡取り問題。
賢輔を八代目に推薦する幸だったが、
治兵衛たちは反対気味。
手代からいきなり店主になるのは良くない。
という考えのほか、
賢輔が八代目になると大阪へ戻らなくてはならない。
小紋は賢輔のデザインがあってこそ。
江戸でもっと経験を積ませてあげたいという皆の気持ちから、
八代目は佐助が担うことになった。
■上納金を納めろ
五鈴屋の活躍を知り、お上から上納金を納めろとの連絡があった。
その金額、1500両。
大阪店に頼ることなく自分たちで解決しようとする幸。
懇意にしている両替商に話を聞きに行く。
そこに来客していた井筒屋三代目を継いだ惣次と再会する。
惣次は多くを語らず、ヒントをいくつか残していった。
幸は、お上の使いに対して、500両×3年返済計画を進言する。
利子もお上に払うことでお上の実入りも増えるwin-winの提案だった。
■片彫師梅松、江戸へ
江戸で小紋が流行ったことで、片彫師梅松の故郷では、
片彫師の囲い込みが横行していた。
梅松は組織に属さなかったため、村八分状態になってしまい窮屈な思いをしていた。
そんな状況から、五鈴屋の手助けもあって梅松は江戸へ出てきた。
堀染師の力造家に身を寄せることになった。
賢輔-梅松-力造と各工程が顔を突き合わせて会議ができるようになり、
距離の問題が解消され商品化へのスピード化につながった。
■新しい模様:干支
五鈴屋では、男女共に着れる小紋柄を開発中・・・
そこで漢字を柄にしては?
という案が出たが、漢字は読めない人もいる。
そして、賢輔が出した案が干支。
干支であれば認知度はばっちり!
干支が散りばめられた反物。
それを考えただけでみんなワクワクしてきた。
早速型の制作にとりかかる梅松なのであった。
■結の恋愛、結婚どうする?
恋愛体質気味な結。
なんかとんでもないトラブルを生み出しそうな・・・