『あきない世傳金と銀9 淵泉篇(髙田郁 著)』の感想レビュー。
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あらすじ
大坂から江戸に出店して四年目、まさにこれから、という矢先、
呉服太物商の五鈴屋は、店主幸の妹、結により厳しい事態に追い込まれる。
型彫師の機転によりその危機を脱したかと思いきや、今度は商いの存亡にかかわる最大の困難が待ち受けていた。
だが、五鈴屋の主従は絶望の淵に突き落とされながらも、こんこんと湧き上がる泉のように知恵を絞り、新たなる夢を育んでいく。
商道を究めることを縦糸に、折々の人間模様を緯糸に、織りなされていく江戸時代中期の商家の物語。
話題沸騰の大人気シリーズ第九弾!!
感想
■結の裏切り音羽屋へ
賢輔との恋が実らないと悟り、
幸への嫉妬が振り切れた結果、
唯は十二支柄小紋の型紙を持ち出して音羽屋忠兵衛の後妻となった。
オイオイ、超展開じゃねーか
■十二支柄の売り出しかた
型紙を奪われたけど、梅松の仕事の結果、
音羽屋と同じタイミングで売りに出すことに成功した。
音羽屋と同じ宣伝や売り方では知名度は勝てない・・・
どうするか?
と考えた時、型染に失敗した時の布を使い、
布の切れっぱしを貼った見本帳を作った。
さらに干支の漢字と絵を組み合わせた紙を配布したりと努力した。
■結ライバル化
持ち出した型紙に五鈴屋の文字が隠されていたことが仲間の寄合で発覚し、
怒りでゆでだこ状態になった音羽屋忠兵衛。
どういうことかと詰め寄られた結は、上手いことやり込め、音羽屋での生活の足がかりとする。
さらに結いは、五鈴屋で培った知識を総動員して音羽屋を盛り上げる。
その評判は五鈴屋以上のものになっていった。
■加賀藩に反物を売った黒松屋の顧客奪う
加賀藩のお侍から絹の注文が入り、
五鈴屋は快諾した。
ところが、仲間内の顧客を奪うことはご法度。
五鈴屋は黒松屋の顧客を奪ったということで、
仲間外れにされてしまう。
仲間外れになった五鈴屋は絹商品を扱うことができない。
当面は木綿を商うことにするが売り上げは芳しくないのであった。
■はげまし
衰える兆しは最も盛んな時に生まれ、
新たな星雲の芽生えは何もかも失った時既にある。
■大阪に帰郷
太物(木綿)だけの商いでは絹の頃の売上は出せない。
何とかしなくては・・・と思うものの、良いアイディアが浮かばない。
幸は八代目への挨拶と気分転換を兼ねて大阪へ帰郷することにきめる。
■大阪で約束
大阪で再開した菊栄と幸。
菊栄は自身で傾いた紅屋を再建した自負がある。
しかし女名前禁止の大阪では自分が店主になることができない。
しかもポンコツな兄が菊栄を邪険にし始めている。
菊栄は幸に「いずれ江戸に出て自分のお店で商いをする」と語る。
二人は約束を交わし、分かれる。
■吉次への贈り物
江戸へ戻った幸は、歌舞伎の菊次郎から、吉次の浴衣を作って欲しいとたのまれる。
絹を扱えない五鈴屋に対しての配慮に感謝する五鈴屋一同。
その中から、木綿の着こなしへの不満点を発見する。
■新しい木綿の柄
木綿には小紋よりも大きい柄が似合うという提案を取り入れ、
ついに木綿に模様と付けることに成功した力造。
模様付きの太物はいまだかつて誰も扱ったことがない。
五鈴屋は模様付き太物で再び名を上げることができるのか?
・・・続く。