『変身(フランツ・カフカ 著)』の感想レビュー。
朝起きたら虫になった主人公とその家族の物語。
もし、自分がそうなったらどうする?
割と他人事じゃないと思うんだよね(理由は後述)。
もくじ
あらすじ
ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。
なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか・・・。
謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。
事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。
虫とは?
作中で明記されていないグレゴールの変身した姿『虫』。
いったい、どんな姿なんだろう・・・?
少なくとも飛べない虫っぽいけれど・・・
作中でグレゴール・ザムザが変身するものは通常「虫」「害虫」と訳されるが、ドイツ語の原文はUngezieferとなっており、これは鳥や小動物なども含む有害生物全般を意味する単語である。
作中の記述からはどのような種類の生物かは不明であるが、ウラジミール・ナボコフは大きく膨らんだ胴を持った甲虫だろうとしている。
『変身』の初版表紙絵は写実画家のオトマール・シュタルケが担当したが、カフカは出版の際、版元のクルト・ヴォルフ社宛の手紙で
「昆虫そのものを描いてはいけない」「遠くからでも姿を見せてはいけない」と注文をつけていた。
各々の想像から作り出す虫ってことなんかね?
僕は芋虫っぽいデザインを想像したよ。
ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。
彼は甲殻のように固い背中を下にして横たわり、頭を少し上げると、何本もの弓形のすじにわかれてこんもりと盛り上がっている自分の茶色の腹が見えた。
腹の盛り上がりの上には、かけぶとんがすっかりずり落ちそうになって、まだやっともちこたえていた。
ふだんの大きさに比べると情けないくらいかぼそいたくさんの足が自分の眼の前にしょんぼりと光っていた。
作中冒頭より
毒虫・・・芋虫っぽい印象
甲殻のように固い背中・・・甲虫?
何本もの弓形のすじにわかれてこんもりと盛り上がっている自分の茶色の腹・・・ご、ゴキb…
さらに作中でも説明あるのに芋虫の印象を払拭できなかったのは、
最後にグレゴールはは羽化して人間に戻ることができました。めでたし、めでたし。
って終わると思ってたんだよ。
感想
朝、突然、虫になってしまった、グレゴール・ザムザ。
自分は虫になったけど、心は人間のまま。
妹やお手伝いさんは投げやりで世話をして、
母はグレゴールの姿を見るだけで卒倒、
父は臭いものにはフタ。
突然訪れた自身の不幸。
けど、瞬間不幸数が大きいだけで、
そのまま働いていてもじわじわ不幸感を感じているだけなんだよな・・・
グレゴールは虫の生活習慣?に馴染めず、最後は餓死してしまうんだけど、
じわじわ長生きしないだけ家族は助かったかもしれんね。
これは、介護問題や障碍者問題にも言えることなのが、
一読者として、なんとも言えない読了感を作り出していました。
他人事ではない?
朝起きたら虫になる。ってことじゃなくてね。
ザムザ家のような一般家庭起こる悲劇って他人事じゃないと思うんだよ。
・一家の稼ぎ頭がある日突然働けなくなる
・働けない家族
→高齢の父、社会経験の無い母、未成年の妹
・家賃が高いが、介護のし易さから引っ越せない
という問題。
稼ぎ頭が虫になる。って荒唐無稽な変化だから当事者意識なく読めるけど、
これが、寝起きの脳梗塞で寝たきりとか、半身不随とかになったら本作と似たような展開になるんじゃないかな?
グレゴールが死んで、家族がホッとするところまで含めて。
・・・介護ってそんなもんだよね。