小説

【ひぐらしふる】各々が体験する不可思議なある夏の日を綴った短編集【彩坂美月】

『ひぐらしふる』文庫表紙

小説『ひぐらしふる 有馬千夏の不可思議なある夏の日(彩坂美月 著)』の感想レビュー。

図書館閉鎖中のためブックオフで本を物色。
なんでも買っていいよ!ってなると逆に選べなくなる不思議。

新しい作者を開拓するとなると、面白そうなタイトルで選ぶことになる。
僕の趣味といえば、『夏』『青春』『時間』・・・そんな感じ。

店内を歩き回っていいると、”不思議なある夏の日”の文字に引かれ購入したのでした。

本作は法事で帰省した有馬千夏が友人たちの会話から当時の出来事を思い出し、
友人「あのときのあれ、不思議だったよねー」
有馬「今思うと〇〇だったんじゃない?」
友人「なるほど~」

と解決していく。
時系列はバラバラで、友人たちがある夏の日に体験した不可思議な出来事をまとめた短編集。
最後まで読むと、別の解釈が生まれるかも・・・?

あらすじ

公衆の面前で突如として姿を消した親子連れ。
山のてっぺんでUFOに連れ去られた幼馴染。
実家に帰省した有馬千夏の身の回りで起こった不可思議な事件は、はたして怪現象なのか、故意の犯罪なのか。
そして、彼女の前にたびたび現れる“自分そっくりの幻”の正体とは。
予測不能、二重三重のどんでん返しが待ち受ける、ひと夏の青春ミステリー。

感想

ミツメル

あらすじ

高二夏、さくらんぼ畑の毛虫が大量に道路を占領する季節。
高校内でスカートを刃物で切られる事件が発生。
成瀬の双子の姉に嫉妬し、成瀬にきつく当たってくるクラスメイト。
帰り道、誰かに見られている気がする。
校舎に大量に貼られた黄色の模造花。

感想

おどろおどろしいプロローグから始まり、ホラー寄りの内容なのかな?
と思いきや、日常系ミステリーの模様。
読み終わってみると、この話もなかなか後味わるいやんけ!
なんなら、みんなの前で解決する必要なかったんじゃないの?
とすら思ってしまう。

「姉のものを欲しがるのは止めました。今は幸せです」
・・・旦那には墓場まで内緒にしておこうね。

素敵な休日

あらすじ

帰省中に夏祭りに誘われて行ってみると、
高校時代の先輩、ハル先輩とみかげ先輩と出会った。
ボーイッシュなハル先輩が結婚するという話を聞き、みんなでお祝いしていると、
柔和なみかげ先輩が一言、
「ねぇハル、この指輪私にちょうだい?」
と問題発言。

感想

みかげ先輩が好きなのはハルの婚約者じゃなくてハル自身。
という想像をして終わり。

寝取りとかレズビアンとか無理心中とか結末は置いておいて、

結婚指輪ガメておいて、
みかげ「お祝いするための冗談でしたー!」
で済ませてハルとみかげは仲直りできるんかい?

しこりが残ると思うんだけどなぁ

さかさま世界

あらすじ

本作は有馬の帰省先、山形県が舞台。
彼氏の友人が山形県天童市のジャガジャガでアルバイトしていた時に出会った不思議な出来事。
自分に気がありそうな同僚。
居なくなった老夫婦と一人だけ帰ってきた息子。
姥捨て山の伝説。
同僚の元カレ。

感想

方言をトリックに組み込む話、ありますあります。
そして報われない草下君。
いや、有馬が推理したところで発生していた事実だからしょうがないね。

ボーイズ・ライフ

あらすじ

とある漫画の舞台になったであろう僕らの町。
UFO山には本当にUFOが来るのか?
とある夏休み、小学生二人は冒険に出る。

探検の目的地、崩れる瓦礫の山。
そこに落ちた友人。
赤くなる空。
友人を置いて逃げ帰っている途中にみたUFO。
その後、なんのお咎めも無しに日々はすぎ、友人は転校してしまった。

感想

友人は転勤族だったから転校は必然だった。
男気溢れる友人と、恐怖心から全てはUFOのせいにしてしまった僕。

真実(であろう)を有馬から聞かされ、茫然とする成長した僕。
おれもえっ?ってなったわ。
真実を聞くまでは小学生のひと夏の冒険譚って感じでほっこりしてたのにさぁ!

八月に赤

あらすじ

舞台はふたたび現代。
ショッピングモールに来ていた有馬一味。
別行動をとっていた利緒がストーカー化した元カレに誘拐された。
「ゲームをしようか、有馬サン」
「あと数分で、午後八時だ。花火大会が始まる。
大会終了の九時までにみつけることができたら、利緒はあんたたちに返すよ。ただし、」
「九時になったら、利緒は殺す。ゲームはあんたの負けだ」
こうして、夏祭りの夜、利緒を探す闇のゲームが開幕した。

感想

『素敵な休日』の話といい、荒療治すぎるだろ!
『素敵な休日』ほどにはギスギスはしなさそうだけど・・・

もっと、別の方法もあったんじゃないのか?
想像力が豊富な人にはこれくらいの事件の方がいいのか?

全体の感想

日常に潜むほっこり系ミステリーじゃないのかよぅ!
人間同士の関係性がもつれていたり、
解決したことにより新たな軋轢が生まれそうな内容が盛りだくさん!

思い込みとか、罪悪感方面で歪んでいる視点を有馬が解決していくんだけど、
最終章ではその有馬自身が歪んでいました。っていうオチ。好きよ。
短編同士で完結しておらず、ちょっと引っ掛かる表現だったところが最終章で回収されるのは面白いと思った。

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