小説『舟を編む(三浦しをん 著)』の感想レビュー。
辞書を作る話。
三浦しをん先生の小説は、
映画、アニメ化されている作品が多く名前だけは知っている人も多いのではないだろうか?
個人的にしをん作品比較で本著の面白さランクは、
風が強く吹いている > 舟を編む > 神去なあなあ日常
な作品。
もくじ
あらすじ
出版社・玄武書房では国語辞典『大渡海』の刊行計画が進められていた。
おなじく玄武書房に勤める営業部の馬締光也(まじめみつや)は、
定年を間近で後継者を探していた辞書編集部のベテラン編集者・荒木公平(あらきこうへい)に引き抜かれ、辞書編集部に異動することになる。
社内から「金食い虫」と呼ばれる辞書編集部。
誰もが行きたがらない部署だったが、馬締は次第に言葉への愛着心を持ち持ち前の粘り強さを発揮し、辞書作りに必要不可欠な存在になっていく。
馬締は個性豊かな編纂者たちと一緒に『大渡海』は完成させることができるのか?
感想
辞書を作る話とか、面白いのかよ?→面白い。
職業病でどんな言葉にも正しい意味を求めてしまう主人公。
言われてみると、なるほどなーって思うけど、
こんなのが身近にいたら疲れるな・・・
>「あがる」は上方へ移動して到達した場所自体に重点が置かれているのに対し、
>「のぼる」は上方へ移動する過程に重点が置かれている。
>たとえば、「あがってお茶でも飲んでいって」とは言うが、
>「のぼってお茶でも」とは言わない。
>重要なのは、「お茶を飲むにふさわしい場所」
>すなわち、室内という到達点であって、
>「庭先から家のなかへ移動する過程」にあるのではないからだ。
これは、辞書を作るという『お仕事系』の作品。
プライドをもって仕事をする。
そこから生まれる人間関係って良いよな~
自分には上手くできない部分だからなおさら凄さを感じる。
名は体を表すというか、
作品のキャラクターには性格に即した名前を付けると思うけど、
それにしたって真面目キャラに『馬締』って。
でも働く姿は次第にカッコイイ。
何に対しても真面目で一生懸命だけど不器用でほっとけないところが愛されちゃうキャラクターなのかな?
恋愛の不器用さもニヤニヤしちゃう。
辞書を作るには、10年以上の時間がかかる。
本著も二部構成と見ていい。
一部:『大渡海』編纂スタート
二部:13年後、『大渡海』完成
それぐらい好きで続けられるものがあるってのは、羨ましい。
フィクションとはいえ、時間の流れを圧縮して体験できるのって凄いことだよね。
本著は、アニメも映画もやった。
その中でも小説が一番好きだな~
オススメ!
本のタイトルについて
「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」
という意味で『舟を編む』というタイトルだそうな。
好きな台詞
「すみません。相手にも同等かそれ以上の真剣さを求めてしまうのが、俺の悪いところです」
いや、(中略)なにかに本気で心を傾けたら、期待値が高くなるのは当然だ。
愛する相手からの反応を、なにも期待しないひとがいないように。