『遺伝子は、変えられる。あなたの人生を根本から変えるエピジェネティクスの真実(シャロン・モアレム 著、中里京子 訳)』の感想レビュー。
本の紹介
人生も遺伝子も、あなたの手で変えられる。
なぜなら、たった今も、あなたのDNAは常に改変され続けているからだ。
それは言ってみれば、何千という小さな電球の個々のスイッチが、
あなたがやっていること、見ていること、感じていることに応じて、
オンになったり、オフになったりするようなものだ。
このプロセスは、あなたがどこでどのように暮らすか、
どんなストレスをかぶるか、何を食べるかなどによって仲介され、調整される。
そして、これらはすべて変えることができる。
つまり、あなたは確実に変わることができるのだ---遺伝子的に。
感想
前回、遺伝子は全てだぜ!
みんな生まれついたものは変えることができないぜ!な本を読んだので反対意見と思って手に取ってみました。
【言ってはいけない】みんなが目をつむる遺伝子の残酷すぎる真実【橘玲】
全11章構成で、面白かったのは2,3章。
2,3章では、ミツバチの女王バチに焦点を当てていて、
女王バチと働きバチの遺伝子はまるっきり同じだというところから始まる。
じゃ、違いはなんなの?って話になるんだけど、
それは、ローヤルゼリーを食べているかいないかだけだった。
遺伝子情報は同じなのに、後天的な生活習慣(ローヤルゼリーを食べる)だけで、
体格は数倍になって、子供を産めるようになる。
というもの。
上記のことから遺伝子が全てという考えを否定して、遺伝子は変えられる『エピジェネティック』という考えを提唱している著者。
人間の遺伝子は、後天的に機能のオンオフを切り替えられるというもの。
人間のエピジェネティックは、
煙草を吸う
→タバコの有毒物質を分解する遺伝子機能がオン!
→その機能はカフェイン耐性にも有効になる
→タバコ&コーヒーは美味い
また、発現した遺伝情報は二世帯(孫の代まで)伝達するという研究結果も。
ここまではおぉッ!と思って読み進めていたんだけど、
それ以降は、著者(医者)が出会ってきた遺伝子疾患の患者の話が続く。
遺伝子は変えられる。ってタイトルなのに、先天的な症状と一生付き合いましょうね。
という内容になっていた。
前半、3章まではとても面白かった。
それ以降は、自分が求めている内容じゃなかったかな・・・
この記事を読むと自分の知りたかった情報は網羅出来ている気がする
後天的に獲得された形質は、次の世代へと遺伝する(WIREDより)
環境と遺伝子の間:あなたのエピジェネティクスは常に変化している(WIREDより)
書籍の良い点は、エビデンスの出どころが参考文献としてしっかり乗っているので信ぴょう性があるってところ。
内容によって自分の合う合わないが出てくるので自分の興味がある項目を読むことをオススメします。
作中で面白かったこと
メンデルの法則の否定
メンデルは科学に偉大な貢献をしたものの、重大なことを見過ごしてしまったからだ。
それは、「表現度の差」である。
表現度の差とは、同じ遺伝子変異や遺伝子疾患を受け辻ていても、重症度や症状の内容に差が出ること
いわゆる、隔世遺伝とかも該当するのかな?
だがほんとうに驚くべき事実は、次のことだった。
その小さなマウスたちは、こうした行動を自分たちの子どもにも受け渡したのだ。
さらには、そのまた子孫にも。
こうした子孫の生育にはまったく問題なかったのにも関わらず。
良い習慣も悪い習慣もトラウマ(いじめとか)も孫の代まで遺伝する。
これは・・・恐ろしいことですよ。
体重別や性別別は---
試合をできるだけ公平にするために考案された手段だ。
だとすれば、将来、遺伝子階級別によってスポーツが競われることになることも、ありえるのではないだろうか?
遺伝子解析が進んだらありえるかも?
遺伝子を解析して乳がんの可能性87パーセントを記録したため事前におっぱいを取った人に対して---
厄介で不完全な検診療法を続けていくかどうかの決断を迫られた女性のうち、
約三分の一は、予防的乳房切除術を選択している。
乳がんに襲われる前に、乳房をあらかじめ切除してしまうわけだ。
そうすることにより、彼女たちはまったく新しい患者グループを構成することになった
プリバイバーだ。
「あらかじめ」を意味するpreと、「生存者」を意味するsurvivorを組み合わせた造語
遺伝子解析が進むとぷリバイバーが増えるんだろうなぁ
それは、胎児の堕胎にも影響してくるのだろうか?