『田舎教師(田山花袋 著)』の感想レビュー。
図書館閉鎖中につき、kindle無料本で純文学を読んでみよう第二冊。
一冊目:人間失格(太宰治)
舞台は旧北埼玉郡で群馬県との県境付近の羽生、行田、熊谷地域が舞台。
日露戦争前後、1901年(明治34)~1904年(明治37)頃、
自身の境遇と周りを比べ、何かを成そうとしたものの何もなしえなかったとある青年の物語。
もくじ
あらすじ
足利で呉服屋を営んでいた両親だったが、清三が7歳の時に没落し、埼玉県の熊谷に流れ着いた。
その後、熊谷、行田で青春時代を過ごし、羽生の小学校に就任する。
友人たちの自分より満たされた生活。
目標を持ち、果敢に挑戦し、都会に飛び出していく姿。
一方、自分の現状を比較。
このまま田舎教師として終わってしまうのか?
このままでいいのか?
なんとも言えない閉塞感と焦燥。
そして、『自分は何かをなせる特別な人間』と根拠の無い自信。
その二つが交じり合った結果、不相応な挑戦をして挫折。
成功体験が無いまま鬱屈した思いは日常生活への反映され、荒んでゆく・・・
落ちに落ち続け、『オキニの娼婦が見受けされた』という些細な理由で平凡な自分を肯定し受け入れることが出来た。
が、時すでに遅し、不摂生な生活は清三の身体を蝕んでいた・・・
主人公:林清三
イケメン。黙っていても女が寄ってくる。
歩いているだけできゃあきゃあ言われる。
ゆ、ゆるせん!
けど、そんな優男にも悩みがあるんだよなぁ
そして、その悩みは自分の内側に向かわずに友人たちとの比較。
比較はいかん。
比較は不幸しか生まれない。
どんなに自分が良い状況だったとしても『隣の芝生は青く』見えてしまうもの。
小学校の先生って、割と良い仕事なんじゃないの?当時はそうでもなかったのかな?
感想
・現状に焦る
・謎の万能感
って気持ち、分かるから清三の凋落っぷりも『情けないやつだな~』って笑って読むことも出来なかった。
清三の周りの人たちが良い人ばかりで、立ち直った後の清三を何かと可愛がってくれる。
荒れる前の清三を知っているからなのか、物語特有の善人たちなのか・・・
借金を期日まで返さない清三に対していつまでも親身でいてくれるんだぜ?すごくない?
友人やお世話になっている人たちがあれこれ助言しても一切響かなかったのに、
『オキニの娼婦が見受けされた』
とか、しょうもない理由で現実に戻ってくる。
しょうもない理由だけど、当人にとっては『重大な理由』って状況、ものすごく理解できる。
僕もしょうもないことで悩んで、しょうもない解決を経て、自分を受け入れることができたからね。
清三も、肺病(結核)に罹らなければ平々凡々と教師生活を全うできたろうに・・・
作品自体は田舎町のとある青年の3年間、比較、苦悩、立ち直りそして死を描いた内容だった。
この手の悩みって共感できないと面白くないんだよね。
僕は部分的に共感できたけど、イケメンで女が寄ってきて鬱陶しいぜ・・・やれやれ
みたいな描写は退屈だった。
突然の横文字
妙にツボに入った。
横文字を使うことがハイカラだった時代なの?
なぜ自分もラヴしているということを思いきって言わなかったろう
ラヴは作中何度も出てくる。
「だッて、前にラブしていたんじゃないですか」
大団円はラブの成功
ラブが性行為ともとれるし、恋愛ともとれるね
人間としての理想のライフ
『理想の生活』じゃだめなのかよ
現代人から見ると、無理して使ってる感がある
主の坊がWifeとともに
ワイフではなくwife。
なんで英単語にした?
いつか聞いた君のフアストラヴ
こんな手紙が届いたら笑ってしまう
恋――それのみがライフにあらず。
清三くん、中二病覚醒中の手紙より
君のシスタアに何か言ったことがあるかえ?
キザったらしい言葉回し