『夏の騎士百田尚樹』の感想レビュー。
冴えない少年三人が騎士の誓いを立て活動を開始。
そこから得た”勇気”とは?
あらすじ
あの夏、僕は人生で最も大切な「勇気」を手に入れた。
新たなる感動を呼び起こす百田版「スタンド・バイ・ミー」、約3年ぶり、待望の長編小説。
勇気――それは人生を切り拓く剣だ。
あれから31年の歳月が流れたが、ぼくが今もどうにか人生の荒波を渡っていけるのは、あの頃手に入れた勇気のおかげかもしれない。
昭和最後の夏に経験した、少女殺害の謎をめぐる冒険、友情、そして小さな恋。
稀代のストーリーテラーが書き下ろした百田版「スタンド・バイ・ミー」、ついに刊行。
感想
令和になった年に、昭和最後の年を振り返るお話。
初めて勇気を手に入れた12歳、夏の物語。
秘密基地で普段つるんでいる三人とにわか知識で騎士団を結成して過ごす小学生の日常。
現在の主人公が当時を思い出すという形で物語は進行していく。
ほとんどが、12歳の少年たちのドタバタ劇なんだけど、
時折、現在の主人公が、
(今思うとあの時が私の最初の〇〇だったんだろう・・・)
って茶々を入れてくる。
確かに、当時の何気ない出来事が、
振り返って見ると今の自分を形作る事件だったり、
人生の分岐点だったりするんだよなぁ
なんて自分自身の人生を振り返りながら読んでしまった。
勇気を手に入れる過程がしっかり描かれていていい感じなんですわ。
オススメ!
作中のハッとさせられる言葉集
三人はしばらく基地拡張計画について話し合った。
話しているうちに夢はどんどん膨らみ、すべたが実現可能なように思えた。
自分たちは何でもできるという万能感でいっぱいだった。
それを行動に移すのがね~
ただ、移すと現実が見えちゃうんだよね。
だから空想の中だけに居ちゃうんだ。
今ならわかる。
そしてこう言える。
人生の成功者は、優先順位を間違えない人間だと。
簡単に言えば、「今やるべきことをやる」
---これができる人間は成功を収める。
たとえ運が悪くとも、人生のはずれ馬券を掴むことはない。
やるべき時にやるべきことをやる。
これが、なかなか実践するのが大変なのである。
人生はささいなことで、大きく振れる。
しかしその渦中にあるときにはそれがわからない。
何年も経って振り返ったときにはじめて、あのときがターニングポイントだったのかと気づくものだ。
僕のターニングポイントはいつだっただろう?
なんというか、壬生が悪口を言うルールのようなmのを持っていることに感心した。
今ならそれを「矜持」という言葉で表現できる。
壬生は十二歳にしてホコリを持っていたのだ。
同時に、やられたらやりかえすという徹底した生き方をしていた。
決して無神経で鈍感な子ではなかったのだ。
壬生は踊りの練習のときも逃げなかった。
絶対に投げやりな態度は見せず、どれだけ笑われても真剣に取り組んだ。
そして見事な踊りを披露した。
クラスの皆は笑っていたが、内心では関心していたはずだ。
芯が一本通った性格の壬生。
それが災いするけど、見ている人からは違って見える。
人は本気になったときには、わざわざそれを口にしないということを初めて知った。
自らを鼓舞するようなことを言うのは、そうしないと弱い自分が出てしまうという不安がある時だ。
ぼくらがこれまで異性のいいことを言い合っていたのは、まさにそれだった。
回りに吹聴してさ、逃げ場なくさないと僕は何もできない人間です。
本当にすごいのは不言実行だよね。
優等生にっとっても、やはり勉強は面白くないのだ。
ただ、彼らはその苦痛を充実感に変えたり、その結果得られることを、楽しさに変換しているだけなのだ。
そこには達成感があるからだ。
一歩一歩足を動かすと、確実に上へ行く。
テレビをどれほど見ようと、何時間ごろごろしようと、その達成感は味わえない。
継続して達成感を得たい・・・
一生懸命取り組んでみたい・・・
何も成したことが無い中年がぼやいてしまう・・・
僕は、健太や壬生と同じ高校へは行けなかった。
大学も一流校へは行けなかった。
しかしそのことでコンプレックスを抱いたことは一度もない。
それは、あの夏に、壬生、陽介、健太の三人と一所懸命に勉強した経験によるものだった。
人生はベストを尽くせばいい。
その結果に関しては何ら恥じることはないとうことは学んだのだ。
恥じなければいけないのは、ベストを尽くさずに逃げることだ。
そして自分に言い訳をすることだ。
ベストをつくす。
僕は今日だけ真剣に生きるッ!