『あきない世傳金と銀4 貫流篇(髙田郁 著)』の感想レビュー。
シリーズ感想はこちら
あらすじ
江戸時代中期、長く続いた不況を脱し景気にも明るい兆しが見え始めた。
大坂天満の呉服商、五鈴屋でも、五代目店主の惣次とその女房幸が力を合わせて順調に商いを広げていた。
だが、徐々に幸の商才を疎むようになった惣次は、ある事件をきっかけに著しく誇りを傷つけられ店主の地位を放り出して姿を消す。
二度と戻らない、という惣次の決意を知ったお家さんの富久は意外な決断を下す。
果たしてその決断は五鈴屋を、そして幸を、どのような運命へと誘うのか。大人気シリーズ第四弾!
感想
プライドを傷つけられた惣次は、家出。
その後、五鈴屋からの隠居と、幸との離縁を書面で送りつけてきた。
それらを受理し、三男智蔵が六代目徳兵衛に就任。
商才の無い智蔵は、幸に自分の妻となり、五鈴屋のお寮さんを継続して欲しいとお願いする。
幸は悩んだもののそれを承諾。
周りからは、兄弟三人を渡り歩いたと馬鹿にされるが、
幸も智蔵も気にすることはなく、無事に祝宴をあげた。
高齢で体調を崩していた富久は、は祝宴を見届けると息を引き取った。
幸に「五鈴屋を頼む」と残して。
店主が変わり、お家さんを失った新生「五鈴屋」は、
まず、江州波村への謝罪と今後の話を行い、
継続して専属販売を行えるようになった。
江州波村で作った羽二重は評価されすぐに完売した。
それをよく思わない呉服仲間がいちゃもんをつけてきたけれど、
それを幸がうまく交してさらに商いを続けていく。
幸が次に打った手は、羽二重の移動販売。
呉服組合の影響で、掛け売りしかできないため別の方法で販路を獲得しようとした。
治兵衛の妻の伝手をたより五鈴屋から羽二重を卸すという形で委託販売をはじめる。
また、倉庫に眠っている売れない在庫をさばくために
『大阪に来れないお金持ち』に眼を向け、さらに委託販売の手を広げる。
委託先は、四代目徳兵衛の横暴ぶりに嫌気がさして出て行った留七と伝七。
留七と伝七が出て行った奉公先が潰れてしまったので再度雇い入れるかたち。
五鈴屋
さらには、人形浄瑠璃の衣装を無料提供し、
それと同じ服を着て観劇を繰り返し、丁稚に迎えに行かせて店を宣伝するなど、
ブームを作り出したりした。
前半は、惣次の隠居、富久の死別と大変だったけど、
後半は、幸のアイデアとそれを実行できる仲間と資金のお陰で五鈴屋を盛り返すことに成功した。
今までの何気ない人間関係や悪い出来事が後に生かされる展開はとても良い!
惣次も今は大変だけどどこかで呉服商を商っていそうな気がする。
後に再登場したりするのかな?