『アミダサマ(沼田まほかる 著)』の感想レビュー。
もくじ
あらすじ
幼子の名はミハル。
産廃処理場に放置された冷蔵庫から発見された、物言わぬ美少女。
彼女が寺に身を寄せるようになってから、集落には凶事が発生し、邪気に蝕まれていく。
猫の死。そして愛する母の死。
冥界に旅立つ者を引き止めるため、ミハルは祈る。「アミダサマ! 」――。
その夜、愛し愛された者が少女に導かれ、交錯する。
恐怖と感動が一度に押し寄せる、ホラーサスペンスの傑作。
感想
なかなか暗い雰囲気のストーリー。
<3h>筒井浄鑑パート3h>
僧侶として修業した成果でミハルの声を聞けた浄鑑は、
ミハルを自分の寺に連れ帰りミハルを育てる。
上手いこと拾ったことを隠滅して育てているあたり、
浄鑑もミハルの精神干渉の影響を受けているような気がする。
ミハルを引き取って4,5年は何事もなく過ごすが、
飼い猫のクマが老衰で死んでから浄鑑の周りで異変が起こり始める。
クマの魂が母に乗り移って母がおかしくなってしまったのか、
単純に母のアルツハイマーが発症しただけなのか、
どこまでがミハルの能力なのか?
<3h>工藤悠人パート3h>
ミハルの魂の声に触れた時の幸福体験が忘れられない人。
幸福体験が強烈すぎて、今が不満すぎるため常にムカムカしており、
他人にたいして非常に暴力的。
”ミハルの声を聞く”という幸福体験をまた体験したいと待ち続ける生活。
覚せい剤を経験するってこういうことなのかもしれない・・・
終盤のキーパーソンのため、人物像の肉付けを行った結果、不快感しかない描写だった。
暴力振るった後、優しくなるとかDV野郎と同じ手口だかんな!
ミハルの能力とは?
死者の魂を引き留める力?
死者の魂を引きとどめる能力は持ってそう。
また、クマの事例をみると、無理矢理延命させることも可能なのか?
他者に自分の声を届ける
その電波は弱弱しくありながらも、
近くにいた浄鑑や、血縁?である悠人に届けることができた。
また、クマや野鳥とも会話ができていた?
生きている人間に対する精神干渉?
精神干渉の影響で近所の人間関係がおかしくなっていった?
ともとれるけど、個人的にはミハルにはこの能力は無いんじゃないかなと思う。
周囲の異変は、アルツハイマーになった母が虚言や誇大表現で蒔いた噂話の影響な気がする。
母にはクマが乗り移ったから変になったのか、アルツハイマーだからおかしくなったのか。
どっちともとれるんだよなぁ
能力は意識的か無意識か
また、意識的なのか無意識なのかでも状況は変わってくるよね。
ミハルはただ純粋に飼い猫や育ての母と別れたくなかっただけだと信じたい。
けど、とある文庫本の表紙は悪意を持っているかのようなデザインになっている。
うーむ、妙な読了感だった。