昔のことを思い出したので備忘録として書いておく。
若干、美化気味。
※写真はイメージです。
自転車で日本中をぶらぶらしていたときの話。
どこの土地だったか忘れたけど、真夏のある日のできごと。
ポツリポツリと降ってきた雨がすぐに夕立に変わった。
濡れねずみになる前に、寂れたバス停留所を発見。雨宿りをする。
時刻表を見ると、バスは一日数本しか走っていない模様。
本数が少ない→利用客が減る→本数が減る
The 悪循環。
住人たちもバスを移動の足として見ていないのかもね。
利用客が少ないのはバス停の佇まいを見ても一目瞭然で、
しばらく使われていないであろう埃の溜まり方をしていた。
人は来ない、雨風は防げる。
うん、休憩にはもってこいの場所。
バス停の中に自転車も突っ込んで靴を脱いで我が物顔で休憩。
最初は疲れた身体を休めながら、屋根や草葉に当たる雨音を聞いたり、
風景を眺めていたんだけれど、すぐに飽きて小説を読み始めた。
この時読んでいたのは『ある愛の詩』という恋愛小説で、丁度ラスト付近。
小笠原諸島で暮らす主人公と東京都内で暮らすヒロインの話で、イルカが出てくる内容だったと思う(うろ覚え)。
しばらくして雨足が弱まってきたけど、もう少しで読み終わるので最後まで読んだ。
読了後、面白かったなぁ。と顔を上げると、
あたり一面が夕焼けで真っ赤なオレンジ色に染まっていた。
夕立後のアスファルトの匂いが鼻腔をくすぐり、
面白い本を読めたという充足感と、
見知らぬ土地での心細さが相まって、
なんともいえない感覚が心象風景として刻み込まれている。
その後は、今日の野宿先を探すために出発した。
最終便が出た後バス停で一泊しても良かったんだけど、
ここのバス停は上記の記憶だけにしたかったんだと思う。
その日の野営先は覚えていない。