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【土橋章宏】【引っ越し大名三千里】かたつむり主導の引っ越し物語

『引っ越し大名三千里(土橋章宏 著)』の感想、レビュー

あらすじ

譜代大名でありながら生涯に七度の国替えをさせられた松平家。
幕府からの国替えの指示は絶対で、引っ越し費用は各大名持ち。
お上の命令だから泣く泣く引っ越しする。それが国替え。

物語は松平家五度目の引っ越しから始まる。
今回は15年ぶりの引っ越しで、
播磨姫路藩(兵庫県)から豊後日田藩(大分県)まで。

しかも、石高も15万石→7万石の減封されたうえ、
今まで引っ越しの采配をとっていた板倉重蔵は老齢のため亡くなっていた。

失敗は目に見えていて誰もやりたがらない。
そこで白羽の矢が立ったのが、武士でありながら剣術がからっきしで、
書庫に引きこもり読書ばかりしている片桐春之助だった。
「人無し」「金無し」「経験無しの」状況で無事国替えは成功するのか?
上司からの無茶振りに右往左往する武士たちをコミカルに描いた時代劇コメディ!
※ある程度実話

片桐春之助(かたぎりはるのすけ)について

主人公。
藩から食い扶持だけもらって暮らすヒキニートのお侍。
書庫に引きこもって今日も読書三昧。
あだ名は引きこもっているから『かたつむり』。

そんな悠々自適な毎日のうらで、幹部たちは国替えの相談中。
減封&引っ越し指揮者死亡のダブルコンボで、国替えなんて失敗が目に見えてる。
引っ越し奉行に任命されて職務を全うできなかったら何かしらの責任をとらねばならない・・・
どうしよう・・・
そうだ、ヒキニートの片桐春之助にやらせよう!

という訳で、成功する見込みが少ない引っ越し奉行に抜擢。
生贄として任命されてしまうのであった。

立場が人を替える

春之助は別段優秀だった訳ではなくて、
任命されたときは拒否、おどされて嫌々ながらも職務を行っていく。

「無能なひきこもりに身の丈に余る職務を与えられた時にどのように解決していくか」という議題にたいして、
人間嫌いだった春之助が、読書経験による知識を実践で使っていく過程がいい。
使いどころの無かった知識を組み合わせて、自分(読者)を納得させて一つづつ手探りで解決して成長していく姿が良い。

ヒキニートだったけど実践すると凄いんです!
ってなんの説得力もなく無双しだしたら感情移入できないからね。

組織あるある

組織に属しているとこういうやつ、居るわーってのが出てくる。
組織の利益に貢献しているほど共感できる内容。

無能マン

石高減封のため、何人かリストラしなくてはならない。
首を切るのは、組織に貢献していない者から。
至極当然なんだけど、リストラ当事者になると吠える吠える。
権利の主張や、泣き落とししたりね。今更遅いよ。

普段から貢献(評価)していればリストラされることも無いんだよな・・・

他人事マン

国替えは藩を上げての一大事業。なのに他人事。

(#^ω^)ピキピキ
いやいや、少しは藩のこと考えろよ。

自分はちゃんとやってるマン

自分の領分(仕事)だけはちゃんとやってる。
なんでお前の手伝いをしなきゃならないんだよ。

(#^ω^)ピキピキ
全体を良くしろよォ!!

自分はやんないマン

引っ越しのために荷物は半分にしろよ!!
えっ?俺も減らすの?いやいや、俺は家老だよ?

(#^ω^)ピキピキ
権力を背景にしやがってよォ!!

相手を納得させる正しい知識と伝え方

舐められない、言い負かされないと言った方がいいかも。

作中では、引っ越し業者に見積依頼したら7000両と言われるシーンがある。
翌日、相談した仲間が恫喝して、前回と同じ5000両。
すかさず同業他社の比較情報をだして4500両まで減らした。

相手と議論するためには相手と同等以上の知識を持ってないと駄目。
僕も前職での交渉作業は苦労したんですよ

春之助もその重要性に気づき、勉強していく。

どんどん協力になっている春之助に藩のみなが
「かたつむりがついにツノを出した」と噂する・・・
↑ニヤリとしちゃう(笑)

春之助の成長

邪険に扱われたり、失敗したり、トラブルに見舞われたり、
困難を経て成長していく。

偏見を持たずに接してくれる人たち、
一緒に仕事をして能力を認めてくれる人たち、
仕事を通して知り合った人たち、
春之助は様々な人に触れ、成長していく。

そして国替えという藩の事業を引っ越し奉行という立場で挑んでいく。

一人じゃ成長にも限界があるんだよな。うん。

感想

組織に属して頑張っている人に読んで欲しい。春之助に共感できるから!
人に疎まれ、人に助けられ、ノウハウを蓄えて、次回に生かす。
あぁ、働いていたころを思い出すな。

細かい財テクなんかもにんまりしちゃう。
オススメの一冊。

作者は初めて見る名前だけど、「超高速参勤交代」の作者か~
これも面白いんだよね。小説、映画ともにオススメだ。

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