小説『電波的な彼女2~愚か者の選択~(片山憲太郎 著)』の感想レビュー。
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もくじ
あらすじ
柔沢ジュウが街で出会ったのは迷子の幼女・鏡味桜。
その日、桜は眼球の身を奪う凶悪犯”えぐり魔”の餌食にされてしまう。
サクラから目を離したことに責任を感じたジュウは、”えぐり魔”を探し出すことを決意。
彼に忠誠を誓う堕花雨の友人で、不思議な雰囲気を持つ斬島雪姫という少女の協力を得ながら、
ジュウは事件について調べを進めていく。
犯人逮捕は不可能といわれるこの事件の真相とは!?
作中の凶悪犯罪率の高さ
本作の舞台は凶悪犯罪が多すぎる。
例えば、
■麻薬中毒者によるバスジャック事件。
乗客の起点ですぐに逮捕されたが、犯人は中学生だった。
■高校を退学処分になった男子生徒数人がそれに反発し、銃を持って学校を占拠。
生徒六人、警察官二人が死傷した。
■元自衛隊員が除隊するときに密かに持ち出したガス兵器を地下鉄の駅で散布未遂
気づいた乗客と格闘になった挙句にホームに走り込んできた電車に飛び込んで自殺。
など。
そして前作の無差別殴殺事件、
今回の子どもを狙った眼球えぐり魔事件。
完全に警察の手が足りてない。
なんなの?この街。
今回の事件:えぐり魔について
被害者の数は現在までに三十四人。
年齢層は四歳から六歳までの子供ばかり。
男子が十三人、女子が二十一人。
年齢が基準で選ばれているようだが、その意図は不明。
眼球を奪う理由も不明。
ただ、眼球の摘出は力任せのものではなく、医学的知識がなければ不可能なものらしい。
眼球を取り去った後で一応の止血もしており、狙いは眼球のみ。
犯人は、子供たちの命には興味がないようだった。
被害にあったのが全て幼い子供で、しかも失明しているとあっては、
どうしても証言は曖昧なものになり、そこから犯人の手掛かりになりそうなものは得られていない。
子供たちにとっては、自分がどういう状況で誘拐されたか、
犯人がどういう人間だったか、
ということよりも、突然に訪れた闇に慣れるのに精いっぱいなのだ。
過去の例を見ると、えぐり魔事件の三分の二は都内で、残りは地方で発生している。
子供だけをねらう酷い事件・・・
子供の両親も辛い思いをしているに違いない!
感想
迷子の少女の相手をしたらその子がえぐり魔の被害にあってしまった。
「あの時、自分がちゃんと警察に連れて行けば・・・」
と責任感からえぐり魔事件を独自調査しはじめたジュウ。
ジュウは体力のある不良で少し喧嘩が強い。という立ち位置なんだけど、
作中の女性たちがまぁ強い強い。
無鉄砲に突っ込むジュウと、
ジュウのやりたいことを冷静に分析する、雨。
ナイフを持つと性格が変わる、雪姫。
殺しのプロ相手に予防線を張りながら対応している。
猪突猛進のジュウがバカみたいじゃん・・・
そしてついに対面するえぐり魔。
動機が、快楽犯のほうがまだ溜飲が落ちたというかなんというか・・・
ジュウが首を突っ込み、事件は解決し、新しく眼球をえぐられる子は居なくなったけど、
なんとも言えない事件の動機でした。
作中の言葉
「勝手に話を進めるな!」
「もっと考える時間をくれ?」
「そうだ」
「そういうのは考えているんじゃなくて、迷っているだけだよ」
またしても痛い指摘。
うっ・・・と心をえぐる鋭いやりとり。
僕も思い当たるフシが・・・
「この世に正義の味方はいない。
でも、それでいいんだ。
正義の味方はいなくていい。
むしろ、いてはいけないんだ」
「どうして?」
「そんなもんがいたら、みんなそいつに頼っちまうだろ?
それじゃあ、人間は駄目になる」
ジュウの母親の正義論。
確かに絶対的に頼れる存在がいればそれに頼りっきりになって、
自分で努力することを放棄してしまうよね。
参考動画
ピエ郎さんのレビューを読んで興味をもちました。
紹介する漫画、小説みんな一癖二癖あって凄いぜ・・・