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【善人長屋】長屋に住む全員が裏稼業持ち!?【西條奈加】

小説『善人長屋(西條奈加 著)』の感想レビュー。

あらすじ

善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。
実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。
差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主買(けいずか)い。
髪結い床の半造は情報屋(ねたもと)。
唐吉、文吉兄弟は美人局(つつもたせ)。
根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが・・・。
人情時代小説の傑作!

感想

長屋の住人全てが裏稼業持ち!?
裏稼業があるからこそ、普段の生活は他人に優しくしよう。
住人がそう思い行動していると、いつしか悪人たちが住む長屋は『善人長屋』と呼ばれるようになった・・・

聞こえはいいけど、
長屋の主は、盗品を売りさばく窩主買(けいずか)い。
美人局でお小遣いを稼ぐ兄妹。
挙句は放火魔まで!

放火なんてちょんまげの時代じゃ重大犯罪なんじゃないの?
決して類焼させないで狙った家のみ燃やす。という矜持があるみたいだけど・・・
かなりヤベー奴らの集団なんだけど、対する相手がもっとえげつないやつらなので相対的に善人に見えてくる。

そんな長屋にちょっとした行き違いでカタギの人間が住み着いた。
加助は、善人で悪く言えばトラブルメーカー。
困っている人を連れてきては、長屋の面々を困らせている。

悪人が困っている人を助けて、悪行への贖罪にしている本作。
でも、本業(裏稼業)からは足を洗わないという信念があるんだかないんだかな作品。

各トラブル一話構成で、全9編。
サッと読めて、悪人が悪人を懲らしめるのに、なぜかスッキリしてしまうのであった。

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