小説『阪急電車(有川浩 著)』の感想レビュー。
兵庫県に実際にある『阪急電鉄今津線』が舞台。
著者も沿線に住んでいて、頻繁に利用していた経緯があり、各駅の描写はなかなかのもの。
日常で生活するものから創作の着想ってどうやって得るんだろう?
あらすじ
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。
片道わずか15分のローカル線で起きる小さな出会いの数々。
乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。
恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。
感想
実際にある鉄道『阪急電鉄今津線』の宝塚駅~西宮北口駅の片道8駅、往復16駅の区間を舞台にした物語。
文庫版はもくじとあとがきを覗いた本編は、9ページから258ページまで。
(258ページ – 9ページ)÷16駅 = 約15.5ページ/区間
ひと区間平均15ページでどんな出会いを描けるって言うんだよ
→描けてるんだよなぁ
出会いは、定番の恋愛から、失恋、教訓など。
偶然の出会いが各々の人生にちょっとだけ影響を与える。
その匙加減がいい。
どっぷり干渉するんじゃなくて、その日だけ、駅一区間だけ、ちょっとだけの会話。
だけど、影響を与える。
お陰で踏ん切りがつきました。あの時はありがとぅございました。
心のなかで思う。
こういう展開ね。
往路で登場した人物たちは、
復路でその後、出会いの影響でどうなったのかが描かれている。
そして、復路で登場する人たちにもちょっとだけ影響をあたえて・・・
そうやって世界は回っているんだなぁ~
お節介な人たちがおりなす物語だったのだけど、
僕は、電車の中で知らない人には話しかけられないや。
その人が困っていたとしても声を掛けるのには勇気がいる。
誰かが助けてあげるから大丈夫でしょ?
なんて、動かないことに理由をつけて正当化したりして。
ろくでもない人間ですよ。僕は。
もしかして、僕の知らない世界では小説みたいなことが日常的に行われていたりするのかな?
それとも、関西地方特有の人柄なのかな?
僕も、少しでも人にお節介を焼ける人間になりたいな・・・なんて考えた。
長編小説って括りだけど、各駅ごとに区切りになっているので、短編の連作と考えれば読書週間の無い人でも敷居は低いと思う。
”毎日約15ページ読もう!”
ね?この目標なら達成できそうじゃない?
区切りもいいしさ。
オススメ!