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【いちご同盟】ふわふわ系かと思いきや死生観の話【三田誠広】

『いちご同盟』文庫表紙

小説『いちご同盟(三田誠広 著)』の感想レビュー。

あらすじ

中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院中の少女・直美を知る。
徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一もよい話し相手になって彼女を慰める。
ある日、直美が突然良一に言った。

「あたしと、心中しない?」

ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と死をリリカルに描いた長篇。

感想

主人公たちは中学生。
で、タイトルには『いちご』の文字。
これは男女のゆるふわ恋愛系に違いないね!
と思いきや、全身がガンに犯された少女と主人公の出会いの話だった。

女たらしの遺伝子をもつ野球部エース徹也に自分の投球の様子を撮影するよう頼まれた主人公・良一。
撮影した雄姿は、入院している幼馴染に見せるのだという。
良一は上映会に連れていかれ、ガンに犯された少女、直美と出会う。
哲也からも「仲良くしてくれ」と言われ、何度か病室に足を運ぶ良一。

言葉少ないながらも交流していくうちに直美に惚れてしまう良一。
直美も好きだと言ってくれるけど、同時に哲也とも恋仲なわけで・・・

直美の切除したガンは別のところに転移しており、手術をするものの完全に取り切れるか不明。
良一は直美との付き合いを通じて、音楽学校に行くために練習していたピアノに深みが出てくるようになる。

そして、良一、徹也、直美の関係はどうなっていくのか?

僕が良一の立場だったらどうするのだろう?
病室で一生を終えそうな少女に出会ったら?
徹也の立場だったら定期的にお見舞いをするだろうけど、
良一の立場だったら足が遠のいちゃうな。

自分の身体に不具合があるとさ、どうしても健康な人とか見て羨ましくなっちゃうよ。
ひがみできついこと言っちゃうよ。

そんなのあまり交流の無い人に言われるなんて嫌だよ。
サンドバックになるためにバスを乗り継いでお見舞いに行くだなんて・・・

これも一目ぼれしてしまった弱みなのだろうか?

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