小説

【県庁おもてなし課】利権や軋轢をはねのけて、高知県を観光立県にせよ!【有川浩】

『県庁おもてなし課』表紙

小説『県庁おもてなし課(有川浩 著)』の感想レビュー。
お役所仕事のおもてなし課を改善して高知県を観光大県にせよ!

あらすじ

高知県にあるおもてなし課は、観光立県になるべく発足された課であるものの、
観光誘致の専門知識の無い職員が寄せ集められた課だった。

高知県にゆかりのある著名人にアポをとり、
観光大使として無料券付き名刺を配ってもらうことに。

しかし、アポをとってから県内施設と交渉し、
名刺のデザインを考えているうちに一ヶ月ちょい。

そのうち、大使の一人で小説家の吉門から問い合わせが入った。

吉門は、
仕事の遅さへのダメ出し、
仕事内容へのダメ出し、
とひたすら続くものの言っていることは的確で、
電話を受けたおもてなし課の掛水は食い下がって助言を乞う。

吉門は、
・民間の見識が広い女性を一人入れること
・県政で頓挫になった『パンダ誘致論』について調べること
を条件にアドバイザー役を引き受ける。

おもてなし課は高知県を観光立県として再構築することができるのか?

感想

実際に高知県にある『おもてなし課』
冒頭の「観光大使として任命されたけど一月以上音沙汰無し」
というのは作者自身が体験したこと。
けど、『パンダ誘致論』はフィクション。
※元ネタはあるけれど。

現実と空想が曖昧になりつつある本作だけど、
観光業として現実味のあるお話ですごく面白い。

お役所仕事の観光誘致ってどこもこんな感じなのかな?
スピード感とか、利権を守ろうとする上層部とか。

最初はポンコツだった掛水が吉門窓口として揉まれていくうちに吉門が嫉妬するくらいの働きをみせるようになったり、
掛水に優秀だと思われていた多紀ちゃんも実は年相応で、役に立ちたくて水面下では必死にバタ足していたという描写。

その辺りの恋愛成分、仕事と絡めると良い味が出るんだよね。
仕事の延長での恋愛。好き。
ちょっと、過剰摂取気味だったけど。

観光を考えるってこんなに大変!
でも面白い!

オススメ!

作中の言葉

「あんたたちさぁ、時間がタダだと思ってるだろ」
「あのさ、あんたがいるその建物の中じゃどうか知らないけどさ、その外じゃ時間って一番高い商品なんだよね」

「は、はい、それはもう充分・・・」
「わかってないよ
あんた、まだ全然わかってないじゃん?
あっさり分かったような振りすんなよ」

「俺が今あんたに、つーかおもてなし課に時間を遣ってるって分かってないだろ?
こんなこと言いたかないけど言わなきゃ気づいてもらえないから自分で言うよ、無料奉仕だぜコレ」

ウッ・・・
僕も時間を有効に使いたいものです。

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