全身麻酔は大きな手術では必須のアイテムですが、いままでそのメカニズムは謎に包まれていました・・・
理由は分からないけど、効果があるから使っちゃお!
なんて、実積はあるけどさぁ、凄いことだよね。
僕は幸いにして大病も大事故も起こさず巻き込まれず、全身麻酔をするような状況にはなったことがありませんが、
全身麻酔を利用した人に話を聞くと・・・
「耐えてやろうと思ったけど一瞬で意識を持っていかれた。
気が付いたら手術が終わっていた。何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのか分からなかった」
なんて意見がちらほら。
一度、体験してみたいもんだよなぁ
麻酔の歴史
西洋で初めて全身麻酔による手術が行われたのは、1846年のことでした。
ボストンのマサチューセッツ総合病院で行われた腫瘍患者の手術は「エーテルドーム」と呼ばれていて、ここで全身麻酔の効果が初めて実証されたのです。
この様子は、絵画にも描かれている歴史的な重要イベントでした。
実に175年も前から全身麻酔は利用されているわけですが、麻酔によって人が意識を失うメカニズムは、これまで不明のままでした。
未解明と言われると、まったく何もわかっていないようなイメージを受けてしまいますが、科学の世界で未解明の問題といった場合、おおよその見当はついているけれど、事実と認める証拠が足りないという状況がほとんどです。
麻酔が見つかったのは100年どころじゃねぇ、170年以上昔の話だった。
そこから最近まで原因が分かっていなかったのは凄い・・・
とうとう判明した麻酔の原因とは
麻酔をかけた細胞を小さいところまで見える顕微鏡で見ると・・・
するとGM1と呼ばれる細胞膜脂質クラスターが大きく広がったのです。
これは細胞内の秩序だった脂質ラフトが無秩序に変わっていくものでした。
この組織の変化を注目して見ていったところ、無秩序になるにつれてGM1は、内容物の酵素PLDを周りに放ちはじめました。
これは、まるでビリヤードの玉のように別の脂質クラスターへと弾かれていき、ニューロンの発火能力を抑える働きのあるクラスターを活性化させたということです。
研究チームは、この細胞の変化を生きた動物の中で確認するため、ショウジョウバエを使って実験を行うことにしました。
研究チームが試したのは、この脂質から出される酵素PLDの削除でした。すると、ショウジョウバエは麻酔の鎮静効果に耐性を得るようになったのです。
酵素PLDを削除したショウジョウバエは、通常通り効果を出すためには、麻酔薬が2倍必要になったのです。
これは麻酔薬が脂質を無秩序化し、PLDという酵素を放つことでニューロンの発火を阻害するという流れで、人が意識を失う原因を示したものです。
お、おう・・・
なるほどわからん。
しかも100%解明された訳じゃないんだって。
科学の謎は深いのだ・・・