小説

【ノースライト】家を作ったのに施主は引っ越してこなかった。一体何があったのか?【横山秀夫】

『ノースライト』ハードカバー表紙

小説『ノースライト(横山秀夫 著)』の感想レビュー。

あらすじ

一家はどこへ消えたのか?
空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。
望まれて設計した新築の家。
施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに・・・。
施主の頭文字を取って通称Y邸、にも選ばれた家は無人だった。
そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。

最初から住んだ形跡が無いのだ。

「すべてお任せします。青瀬さん、あなた自身が住みたい家を建ててください」

そう言われ、設計した家は、
自身の最高傑作となり、
【平成すまい200選】にも掲載され、自他ともに評価されていると思っていたのに・・・

一度も住んでいないというのは、何か気に入らなかったのか?
それとも、事件に巻き込まれたのか?
電話してみるも、施主の吉野とは連絡がとれない。

Y邸には、古ぼけたブルーノ・タウト作と思われる椅子が一脚残されていた。
・・・Y邸でいったい何が起きたのか?

ブルーノ・タウトについて

実在の人。
吉野探しの手掛かりである「タウトの椅子」に関係する人物。

ブルーノ・タウト(1880年5月4日 – 1938年12月24日)は、ドイツの東プロイセン・ケーニヒスベルク生まれの建築家、都市計画家。
鉄の記念塔(1913年)、ガラスの家(1914年)が評価され、表現主義の建築家として知られる。

1933年、ナチスの迫害から逃れるため海外に滞在先を探していた際に、前年にあった上野伊三郎率いる日本インターナショナル建築会からの招聘を受け入れ、1933年に来日し3年半滞在した。
日本では建築設計の仕事を得られなかったことから、トルコ政府の招きにより転地し、1938年に当地で没した。

感想

主人公青瀬の三つの悩み?が物語の三本の柱。
この三つが入り混じって一冊に仕上がっている。

疾走した吉野とY邸

青瀬が設計し、軽井沢に立てた自身の最高傑作のY邸。
北側の採光(ノースライト)を意識した建築。

施主の吉野はそこに一度も住むことは無かった。

吉野は一体どこへいったのか?
唯一残されていた「タウトの椅子」を手掛かりに、吉野の行方を追うストーリー。

最後には、吉野失踪の理由、
Y邸を依頼した理由、
など青瀬が疑問に思っていた全てが氷解。
綺麗にまとまっています。

離婚した妻と娘

物語の途中途中に青瀬のキャラを立てるために差し込まれた小話かと思いきや、
Y邸建築の理由の一つだった。

再構築・・・できるんかなぁ?

藤宮春子メモワールの建築コンペ

中盤以降のメインストーリー。
職場が勝ち取ったコンペの参加券。
けど、社長は結構わいろ的なこともやっていたようで、
それを新聞社に嗅ぎつけられて・・・

コンペへ向かう情熱がカッコイイ。

(コンペ資料を作成し連日職場への泊まり込みが続く中)
早く終われとは思わなかった。
青瀬は心地好い繭玉の中にいた。
Y邸の図面を引いていたとき以来の高揚感に酔いしれていた。
隣には岡嶋がいた。
二人で線を引き、二人で図面を破り捨てた。
並みだが出るほど美しいものを、二人で探し求めていた。

青瀬は完成した図面を見つめた。
一つ頷き、テープを剥がして製図版から外し、くるくると丸めてアジャスターケースに収めた。
胸にあった熱の塊が消えた。
それは本当に見事に消えた。
熱源を失った身体はひどくだるかった。

完全燃焼ってしたことない・・・
憧れるわ。

感想の感想

序盤は退屈だったんだけど、
後半になるにつれ盛り上がってくる話でした。

建築家に限らず、なにかを創造している職人は、
自分の何かを残したいって思うものなのかな?

今度、建築家の友人に勧めてみよう!

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