小説『ラットマン(道尾秀介 著)』の感想レビュー。
遺伝子操作で、ネズミの遺伝子を混入して生まれた男の話?
はたまた、ゲゲゲ~ッ!?な妖怪少年を主人公にした話?
と思いきや、ラットマンとはラットマン効果のことだった。
ラットマンとは?
「これ、有名な『ラットマン』の絵なんだけどな。ほら端っこの二つ」
「動物とならんでいるほうは、ネズミに見える。
ところが人の顔と並んでいるほうは、おっさんの顔に見える。
ほとんど同じ柄のはずなのにな」
「つまり、こういう幽霊ならいるってこと。
『もしかしたら幽霊が出るかもしれない』
なんて考えて怯えている奴は、
頭の中に本当に幽霊を生み出すんだよ。
暗がりで見た、何でもないものが、青白い顔に見えたり、
木の葉擦れの音が何者かの囁き越えに聞こえりするってわけだ」
文庫71ページより
あらすじ
結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。
次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。
事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。
本当の仲間とは、家族とは、愛とは―。
感想
あらすじはアマゾンのあらすじ。
ネタバレしないように説明するとこういう説明になっちゃうよね。
バンド『Sundowner』結成時からお世話になっているスタジオ『ストラト・ガイ』。
経営難からストラト・ガイが閉店することになった。
姫川たち『Sundowner』のメンバーは、ストラト・ガイでの練習最後の日に、
元バンドメンバーで元ストラト・ガイのすたっふ、ひかりの死体を発見する。
ひかりは事故死のようだが、殺人の可能性もある。
ストラト・ガイに居たのはバンドメンバーとスタジオのオーナーのみ。
一体、ひかりを殺した人間はこの中に居るのか?
はい、事故ではありません。ひかりは殺されています。
※これくらいのネタバレはいいよね?
殺害は突発的、動機は自己中心的なもので、
事件そのものを見ればなーんだって印象なんだけど、
登場人物たちが勘違いに勘違いを重ねて、
これぞ、『ラットマン』という内容に。
犯人もね、
動物に紛ればネズミになり、
人間に紛れるとおっさんになるんですよ。
お互いがお互いに勘違いしてたらそれはもう、真実なんじゃないかな!?
ラスト50ページの犯人と事件のネタばらしに向けての加速は読む手が止まらなくなった。
バンドメンバー、みんないい奴らじゃないか・・・
最後は、事件を通して自己解決した姫川の過去。
まぁ、それが真実とは限らないけどさ。
ホントはホントに殺していたのかもしれないよ・・・?←ゲス
オススメです!