小説『クリムゾンの迷宮(貴志祐介 著)』の感想レビュー。
日本のデスゲーム作品のパイオニアになれるはずだった不遇の作品。
なぜ ”はずだった” のか?
それは、同年同月に『バトル・ロワイヤル』が発売したから。
クリムゾンの迷宮 1999年4月9日
バトル・ロワイアル 1999年4月21日
バトロワは、中学生同士の殺し合いという内容で、映画が社会問題になって話題になった。
漫画も面白くってメディアミックスも成功といえる。
けど、クリムゾンの迷宮だって凄いんだぞ!
中年の男女が火星(という設定の場所)に連れてこられてサバイバルする話なんだ。
映画は・・・やってないけど、
漫画は・・・2014年に発売したし(もっと早くに出していれば・・・)
・・・
同じ年、同じ月、同じジャンルなのにどうしてここまで差が付いた・・・?
僕は・・・僕は、『クリムゾンの迷宮』のほうが好きなんだよぉ~ッ!!
クリムゾンの迷宮 1999年4月9日←ほら、こっちが先、こっちが先でしょ!!
バトル・ロワイアル 1999年4月21日
あらすじ
目覚めた男がいた場所は、地球のものとは思えない深紅色に染め上げられた謎の大地だった。
所持品も何もない状態で、手には側に置かれていた携帯ゲーム機のみ。
電源を入れると、その画面に映し出されたメッセージは、「火星の迷宮へようこそ」
携帯ゲーム機導くこのゼロサムゲームは、参加者9人を凄惨な世界へといざなうことに。
感想
いきなり火星(という設定のオーストラリア)に連れてこられて脱出を目指す話。
目覚めた先でゲーム機の指示を元に、
【サバイバルアイテム】【護身アイテム】【食料】【情報】の示す先へ2~3人に分かれて調査する。
なぜここに連れてこられたのか?
目的は何なのか?
この火星で生き延びるためにはどうすればいいのか?
前半は、上記のようなSF×ミステリー×サバイバルの展開。
後半は、食屍鬼(グール)から逃げ回るホラー×サバイバル。
主人公の藤木芳彦と大友藍は【情報】のルートを辿り、
火星で食べられる動植物、危険な動植物、それらを捕まえる罠の情報を得てサバイバルに勤しむ。
チェックポイント毎に様々な情報が得られるんだけど、
主催者側の采配か、このサバイバルの目的がちらほら小出しにされていて、
まさか、そんな目的のために!?
と、主催者の意図が分かってからはページをめくる手が止まらなくなる。
手に入る情報で他のグループよりアドバンテージはあるけど、
それが恐怖の演出に一役買っているのが面白い。
最終的に藤木は生きのこるんだけど、そこから終わり方が消化不良。
ゲームブック通りの終わり方といえばそうなんだけど・・・
いや、その様子も撮影されてたりして・・・?
デスゲームものの名作です。
オススメ!