小説

【みをつくし料理帖5】【小夜しぐれ】感想レビュー【高田郁】

『小夜しぐれ』表紙

みをつくし料理帖シリーズ『小夜しぐれ(高田郁 著)』の感想レビュー。

シリーズの感想はこちら

もくじ

あらすじ

季節が春から夏へと移ろい始める如月のある日。
日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。
美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。
それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。
果たして、美緒の縁談の相手とは!?――(第三話『小夜しぐれ』)。
表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。
恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾!!

感想

迷い蟹~浅蜊の御神酒蒸し~

春先睦月、
種市ファミリーの過去話。
若い男と浮気した末に種市とおつるを捨てて出て行ったお連が今更ながらつる家の暖簾をくぐってきた。
激高した種市はお連を店から追い出したたと、澪たちに娘が亡くなった経緯を説明した・・・
その後、再度お連がつる家にやってきて娘をさらった錦吾が江戸に戻り湯屋で働いていると告げる。
話を盗み聞きしていた種市は娘の敵をとるためにこっそりつる家を抜け出した。
それに気づいた澪とふきは種市を人殺しにしないために後を追いかけるが・・・

種市の過去話。
天災的に愛娘を失ったのかと思っていたら、因果のある出来事だった。
復讐に燃える種市は敵に肉薄するも改心?した姿を見て刃を収めた。
おいおい、相手の現状なんてこっちには関係ないでしょ!
って僕は思った。
また、澪も種市を見捨てればつる家も自分で経営出きるわけで・・・
それでも種市を止める澪はエライ!

夢宵桜~菜の花尽くし~

弥生の頃の話
吉原の翁屋から上客を集めて行う花見の宴料理を作ってみないか?と打診された澪。
悩んだ末、少しでも野江ちゃんに近づけるならと引き受けたが、つる家で普段作っているものは大衆料理。
果たして自分に舌の肥えた太客を満足させられる料理を作ることが出きるのだろうか?

料理のスパイスは贅沢をしているという背徳感。
野江ちゃんも天運だけでなく自身の努力で現状を打破するのが良いね。

小夜しぐれ~寿ぎ膳~

結婚が思いを寄せていた源斉先生ではなく店の男に決まってしまいつる家に家出をしてきた美緒。
澪がみる限り店の男は誠実そうな雰囲気。
散々嫌がり家出までした美緒だったが、最終的に美緒は店の男と結婚することを決めた。
美緒の心境の変化はどこでおきたのだろう・・・?

好きな相手にアプローチすることも許されない時代。
恵まれた家庭だからこそ家出も出来るってもんよ
今後、澪とげんさい先生とのフラグは立つのだろうか?

嘉祥~ひとくち宝珠~

小松原の話。
つる家の面々は出てこない初めてのケース。
甘味嫌いの小松原に突如舞い込んだイベントで甘味を一品作る羽目に。
甘味嫌いが故に甘味料理を作ることが出来ない。
悩んだ末に思い出した澪とのやりとり。
小松原は新しい甘味を作ることが出来るのか?

薄々読者には気づいていた小松原の素性がついに明らかに!
澪の登場しない話は初めてだね。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です