みをつくし料理帖シリーズ『美雪晴れ(高田郁 著)』の感想レビュー。
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もくじ
あらすじ
名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。
悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。
しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。
どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい---。
一方で澪も、幼馴染みのあさひ太夫こと野江の身請けについて、
また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた・・・。
いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。
幸せの種を蒔く、第九弾。
感想
神帰月~味わい焼き蒲鉾~
芳は柳吾からのプロポーズを保留にしていた。
というのも生きていた佐兵衛にしっかりと報告をしておきたいからだ。
後日、佐兵衛家族がやってきて結婚の報告と孫を抱くことが出来た芳は柳吾のプロポーズに快諾した。
澪は料理で余った卵白を使って蒲鉾作りをするが難儀していた。
当時の蒲鉾は高級品、自前で調達出来れば安上がりで提供できるが・・・
佐兵衛家族としっかり話し合いの場を設けることができ、孫も抱けた。
さらに、柳吾との再婚。
芳エピソード完結編といってもいい内容。
居心地がいい空間でもずっとは一緒に居られないんだよなぁ
美雪晴れ~立春大吉もち~
無事、料理番付の関脇に返り咲いたつる家だったが、
そこに載っていたのは『面影膳』だった。
面影膳は、故人を偲ぶためのもので、文月13日から15日までの三日間しか出さない料理。
なのになぜ関脇に・・・?
不思議がる一同だった。
また、一柳の店主から澪の能力を買われ、一柳で修業をしないか?と勧誘される。
もし一柳で働けば、芳とも一緒に入れる澪だったが、
自分にはあさひ太夫を見受けするという目標があるためそれを辞退する。
日は変わって、吉原の摂津屋が澪を訪ねてきた。
摂津屋はあさひ太夫の正体を知りたがっている人。
大阪からの出張から帰ってきており、あさひ太夫=野江の核心に近づいていた。
澪は、野江との馴れ初めと再会、そして、見受けしようとしていることを摂津屋に伝えるのであった・・・
澪やりたいことが徐々に周りに知られていく。
けれど、敵味方をしっかり分別しないと後々面倒なことになりそうだ。
新キャラ、お臼さんの掘り下げはやるのかな?
華燭~宝尽くし~
芳が嫁入りの日が近づいてきた。
また、澪もいずれつる家を出て行く。
代わりの料理人を柳吾にお願いしていたところ、以前約束を反故にしてしまった政吉が再度つる家の厨房に立ってくれることに。
実は、臼は政吉の妻でつる家が政吉が働くのに良い店か見極めていたのだ。
無事、料理人も決まり、芳は柳吾の元へ嫁いでいく前の晩、
つる家では前祝が行われた。
そこにはおりょう一家や佐兵衛の姿も。
翌日、柳一で行われた結婚式の後、
柳吾は言う、「佐兵衛はまだ料理人を捨てきれていない」と。
佐兵衛は再び包丁を握ることができるのか?
柳吾の澪への評価は高い。
澪も他人の助けを借りてお金を稼げばいいのに。
自分の信念を貫いてあさひ太夫を見受けするよりも、
一刻も早く見受けするほうが大事な気もするけれど。
ひと筋の道~昔ながら~
あさひ太夫の見受け資金調達に本腰を入れて活動を開始した澪。
手始めに吉原の花見で鼈甲珠を売ってみることに。
ところが、登竜桜の紛い物だとか、勝手に売るなと他の振売りに怒鳴られたりと散々な目にあった。
まずは吉原の規を知るために翁屋を訪ねるとそこに摂津屋もいて、二人の助言から普請中の翁屋の軒下を借りて商売出きるようになった。
果たして鼈甲珠の売り行きはどうなるのか?
ようやくあさひ太夫見受け資金調達編に突入!
立地や体験を生かした価格設定。
薄利多売をしない姿勢。
料理人から利益を追求する商売人の視点も持ち始めた澪。
面白くなってきたぁ~っ!!
なのに次巻が最終巻。
資金調達編が駆け足のあらすじにならなければいいけど・・・