小説

【はなとゆめ】わたくし清少納言、枕草子を執筆しましたのよ【冲方丁】

『はなとゆめ』表紙

小説『はなとゆめ(冲方丁 著)』の感想レビュー。
清少納言の半生を描いた物語。

あらすじ

わたくし清少納言は28歳にして、帝の妃である中宮定子様に仕えることになった。
華やかな宮中の雰囲気に馴染めずにいたが、17歳の定子様に漢詩の才能を認められ、知識を披露する楽しさに目覚めていく。
貴族たちとの歌のやり取りなどが評判となり、清少納言の宮中での存在感は増していく。
そんな中、定子様の父である関白・藤原道隆が死去し、叔父の道長が宮中で台頭していく。
やがて一族の権力争いに清少納言も巻き込まれていき・・・

清少納言とは?

990年~1000年代の平安時代中期に実在した女性。
『枕草子』を執筆した女流作家。
本職は、女房とよばれる、貴族に使えた奥(後宮)向きの女官?女性使用人?で中宮様に務めた。

中宮も役職を指す言葉でで、清少納言が務めた中宮は、一条天皇の妃、中宮定子様。
人の才覚を見抜く眼力に長け(といっても、清少納言と出会ったのは十代後半だけど)、清少納言を見出した人。

誰もが『せいしょう・なごん』と発言するけど、
『清』は父の姓+『少納言』は職名になので、
読み方は、『せい・しょうなごん』で区切って読むのが正解。
・・・初めて知ったわ。

若い子が務める女房の中で、新参でありながら高齢(27歳)。
実務や語彙能力にずば抜けているもののイジられ属性も持ち合わせていて、
様々な珍妙なあだ名をつけられた。

『葛城の神』『馬副童』『聖僧都』『草の庵』など
※意味は本著を読んでからのお楽しみ♪

不名誉なあだ名だけれど、
周りからはいじり愛みたいなものだったんだろうなぁって。

感想

清少納言が女房として勤め始め、中宮定子様が亡くなって隠居して、
枕草子を描き始める話。

枕草子は、日記ではなく随所、詞、ポエムのようなもの。
日常の何気ないことを綴った冊子。
当時では珍しい文体だったのか凄い人気だったみたい。

宮廷では、直接に何かを伝えるんじゃなくて、短歌にして感情を表現する文化。
独特の言い回しとか、やんわり否定するような、察して文化がすごい合わなかった。

「この程度の言い回しも理解できないなんて・・・」

とか、だったらストレートに感情を表現したほうがいいんじゃない?
そういうのに風情を感じてしまうのが雅な人々なのかね?

内容としては、憧れだった女房になって、中宮様の元で働けるの楽しい~っ!
けど、権力抗争に巻き込まれて・・・
みたいな公家の宮廷内の限られた空間での話だった。

清少納言ってこういう人だったのかな~?
なんて想像するには良い作品。

個人的には、天地明察の方が好き。
【天地明察】挫折を繰り返し、日本の暦に挑み続けた男たちの物語【冲方丁】

作中の言葉

もちろん内裏への憧れは、今も昔も強烈にわたしの心に根付いています。
ですが当時わたしが夢見ていたのは、あくまで、この不完全な世で、
生きながらにして完全な世を、つまり浄土を垣間見せてくれるような華を、この目で見ることでした。

「もしそれが成就されたなら、どんなにか幸せでしょう・・・」
うっとりしながらそう語ることが、いうなれば、わたしの憧れの限界だったのです。

その仕事に就きたいな~
っていう憧れはあるけど、当事者になるつもりはない。
・・・その感情、わかるなぁ

わたしはこのとき、自分がこれまで閉じこもっていた格子を、自ら引き上げさせられたことに、
いいしれぬ喜びを感じ、身震いする思いでおりました。
(中略)
それはまさに、人に華を教えるということでした。
その人ならではの華があることを、そしてまたその華が披露するに値するということを、
その人自身に教え、導くのです。
まさにわたしはこのとき、
「清少納言」
中宮様がお与え下さった名のもとで、自分の中に隠れていた華の一端を見出したのでした。

人を導くのが上の人間の役目?

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