『あきない世傳金と銀2 源流篇(髙田郁 著)』の感想レビュー。
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あらすじ
学者の娘として生まれ、今は大阪天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する主人公、幸。
十四歳の幸に、店主徳兵衛の後添いに、との話が持ち上がった。
店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。
番頭の治兵衛は幸に逃げ道を教える一方で、
「幸は運命に翻弄される弱い女子とは違う。どないな運命でも切り拓いて勝ち進んでいく女子だす」
と伝える。
果たして、「鍋の底を磨き続ける女衆」として生きるのか、
それとも「五鈴屋のご寮さん」となるのか。
あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。
話題沸騰のシリーズ第二弾!
感想
五鈴屋のどら息子、四代目徳兵衛の後妻を探すものの、
店を盛り上げる能力も無く、遊郭遊びに明け暮れて離縁された事実は噂として広がっており、なかなか見つからなかった。
それでも期日までに後妻を見つけなければならない状況で白羽の矢が立ったのが幸だった。
幸は悩むものの、
「商家の女衆は、どれほど聡かろうと、ひととして優れていようと、
女衆で居る限り、一生、鍋の底を磨いて生きるしかない。
良し悪しの問題やのうて、それを覆すことの出来ん定めだす。
幸はそれで終わる器とは違う。
女衆で終わったらあかんのや」
治兵衛の言葉で結婚を決意する。
結婚したものの、徳兵衛は幼い幸の体には見向きもせず放蕩三昧。
幸は、それでも五鈴屋の面々から話を聞いたり、
惣次の営業に同席し、知識を貯めていく。
まだまだ幸の能力は発揮されない。
まだまだ知識を吸収している段階。
それにしても、五鈴屋の三兄弟は一長一短が激しすぎるね。
四代目徳兵衛・・・弟の商才に潰されてしまった男。
最初は自信も頑張っていたんじゃないかな?
弟に勝てないと心のどこかで認めてしまい、劣等感から職務放棄し、現在に至る。
惣次・・・商才はあるがそれを他人にも求める完璧主義者。
商売に本気を出さない奴が許せないので従業員にきつく当たってしまう。
中には商売が好きになれないものも居るだろうに。
智次・・・商売が好きではない。
勘当され、自分のやりたかった執筆活動に励む。
徳兵衛の最後、幸(女性)を五鈴屋の経営に携われるようにするためだけの舞台装置。
幸の貞操を守りたいけど、商いもさせたい。
そんな中生まれたであろう四代目徳兵衛というキャラクター。
役目が終わったらはいさよなら。なんてひどすぎない?
人物の扱いが雑な気がするけれど、
読者のヘイトを集めるのに一役買ったキャラクターだった。
でも、三兄弟を見ていると、富久の教育に問題があったような気がしなくもない・・・