『家康、江戸を建てる(門井慶喜 著)』の感想レビュー。
秀吉によって、無理矢理江戸に国替えされてしまった家康。
されてしまったものはしょうがない。
そこから”自分の国”を作るため、江戸の地形を変えるリアルシムシティ開幕!
友人にオススメされ読んでみると、これがなかなか面白い!
もくじ
あらすじ
天正十八(1590)年、家康は関白・秀吉から関東二百四十万石への国替えを要求された。
そこは、水びたしの低湿地が多い広大な土地。家臣団の猛反対をよそに「関東には、のぞみがある」と受け入れた家康。
貧村・江戸を本拠と定め、街づくりに着手。
利根川東遷、神田上水、江戸城築城・・・日本史上最大、驚天動地のプロジェクトが始まった!
ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!
流れを変える
江戸が水浸しなのは、利根川が枝分かれして江戸中を網羅しているから。
だったら利根川の流れを変えちゃえばいいじゃない!というお話。
そうは言ってもねぇ・・・
あんな太っい川、どうやって流れを変えるのよ?
現在、利根川は千葉県銚子のほうで海に流れているけど、当時の利根川はなんと東京湾に注いでいた。
当時の技術を総動員して、川の流れを東に代える。
すげぇことしてますよホント。
金貨を延べる
大判事業は大阪の独壇場だった。
家康は、自前の金貨、それも十両大判ではなく、一般流通しやすい一両小判での制作を江戸で試みる。
豊臣利権の資金鋳造を徳川利権にしようとする経済戦争なのだ。
それに伴い、金の含有量を豊臣側より多くして、デザインもこだわって・・・
と試行錯誤していく。
この話が一番好きだ。
なにより、使いづらい十両大判より実用性のある一両小判の生産というのがいい。
十万円札より一万円札のほうが使いやすいもんね。
飲み水を引く
江戸の飲み水って、全て水道が整備されていたという事実に驚き。
現在の井之頭御社公園から水道を整備して江戸に飲み水を引く。
インフラを整えることにより、江戸に人を引き込んでいく。
規模感がすげぇや・・・
石垣を積む
江戸城建設のための石垣を積む話。
ここから江戸を整える内容からお城を作る話になり、物語のスケールが落ちた気がする。
江戸城は、徳川幕府の仕事というより、他藩の人と金で建設されるもの。
お互いの藩の威信をかけて石垣を積むものの、功に焦り基礎を疎かにして大雨で石垣が崩れる藩があったりと紆余曲折。
それでも、石垣はどんどん積み上がっていく・・・
天守を起こす
江戸城の漆喰は白!
天守もこの時代要らないけれど、豊臣家を威圧するために必要!
見てくれだけで中身は簡素に。
まとめ
江戸の町はこうやって作られていったんだ。
という触りの部分を学ぶには持ってこいの一冊。
聖地巡礼、したくなっちゃうじゃないか・・・