小説『生贄のジレンマ中(土橋真二郎 著)』の感想レビュー。
他人を犠牲にしてまで生き残りたいですか?
もくじ
あらすじ
生き残るためクラスメイトに投票し生贄を選出するか。
それとも自ら生贄に志願し、他者を救うか---
残酷な選択を前に、生徒たちが思考を停止させる中、
やがてルールにある変化が起こる。
生贄志願者の”価値の低下”
---それは投票による生贄の選出を促すものであり、
やがて起こるクラス間での凌ぎ合いを意味していた!
そんな中、篠原純一は些細な誤解やすれ違いによって徐々にクラスから孤立していき・・・。
感想
生贄の価値の低下
24時間→12時間→6時間
さらに生徒数も減っているので、
最初は一人の犠牲で300人近くの生徒を24時間救えたのに、
現在は一人の犠牲で100人程度の生徒を6時間救うだけ。
生贄の価値の大暴落が起こっている。
それでも、一クラス分を6時間救うことのできる投票生贄よりは価値があるけれど・・・
主催者側は、投票をさせたがっている?
主人公:篠原純一について
だんだんと自分勝手でろくでもない人間さが出てきた気がする。
地頭は良さそうだけど協調性がない。
放浪癖の姉のためといいつつ自分の逃避のために使われている感あり。
クラスに戻る戻る詐欺も健在。
なんで八組が穴生贄をした後、クラスに戻らないんだろう?
・・・謎である。
各クラスの特色
極限状態の中、各クラスの人数も減り、
各クラスの中でリーダーシップを取る人間が出てきた。
中巻終了時点では、生徒数が残り、リーダーシップが取れている八組が優勢な気がするが・・・?
クラス対抗戦?
仮にクラス対抗戦で他クラスを全滅させるまでゲームが続くとしたなら、
バイオレンス(暴力)な解決策で人数調整が行われてしまう気がする。
ゲームのルールに従う必要はなくて、殺し合いによる決着。
クラス間の人数差も出始めてるし、先制攻撃をしたほうが有利だろうし。
主催者たちは暴力でのゲーム終了もアリだと思っているのだろうか?
考えるのをやめるな
極限状態の中、思考停止するもの多数。
その結果、三組と五組は全滅。
一組はラッキー残り
四組は篠原の気づきによって残り。
全員、巻き込まれた形だけれど、
小さな気づきや他人の悪意に敏感にならないと生き残れない。
終了条件とは?
予想その1:生存者が一クラスのみになるまで
予想その2:生存者が何人以下になるまで
ちゃんと明示してあげたほうが疑心暗鬼を生んでもっと殺伐になった気がする。
それとも、もっと別の意図があるのかな?
案外、全員死ぬまでとか最後の一人までだったりして?
主催者たちの思惑は一体なんだろう?
中弛みしてきてしまったけど、下巻も楽しみだ。