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【巷説百物語】心の隙間に妖怪が忍び寄る・・・【京極夏彦】

『巷説百物語』文庫表紙

小説『巷説百物語京極夏彦』の感想レビュー。

あらすじ

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。
御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧。
長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが・・・。
闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。
小豆洗い、舞首、柳女―彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか---。
世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。
amazon紹介文より

時は、江戸。巷の闇の色は濃い。
その闇を縫うように、あやかしたちの姿がほのかに立ち上る。
小豆洗い、白蔵主、舞首、芝右衛門狸、塩の長司、柳女、帷子辻・・・。
それは、現か、幻か、それとも---
と、その刻、小股潜りの又市の鈴が密やかに鳴り、
山猫廻しのおぎん、考物の百介、事触れの治平の姿が現れる。
「御行奉為---」
いつの世も、不可解な事件は決して跡を絶つことがない---。
ハードカバー表紙そでより

感想

証拠が無く、法でさばけない事件や復讐の相談を金で請負い、言葉巧みに妖怪の仕業に演出することで解決していく。
小股潜り(詐術師)の又市を筆頭に、山猫廻し(人形つかい)のおぎん、変装上手な治平にひょんなことから一団に加わったカタギの妖怪大好き百介。
事件の解決を妖怪っぽく見せ、人の心の隙間から解決していくのは仕掛けを知った上で読んでみても面白い。
妖怪は人の心の隙間に入り込むんだよなぁ

登場する妖怪

小豆洗い

山寺の小僧
谷川に行きてあずきを洗い居たりしを
同宿の坊主意趣ありて
谷川へつき落としけるが
岩にうたれて死したり
それよりして彼の小僧の霊魂
おりおり出て小豆を洗い
泣きつ笑いつなす事ありなんし

白蔵主

白蔵主の事は
狂言にも作り
よく人の知るところなれば
ここに略しつ

舞首

三人の博奕勝負のいさかいより
事おこりて公にとらはれ
皆死罪になりて
死骸
がいを海にながしけるに
三人が首ひとところによりて
口より炎はきかけ
たがいにいさかうこと
昼夜やむことなし

芝右衛門狸

淡路の国に芝右衛門といえる
古狸あり
竹田出雲芝居興行せし折から
見物に来りて犬に食われ死たり
然れ共廿三日が間は
姿をあらわさざりしとなり

塩の長司

家に飼いたる馬を殺して食しより
馬の霊気、常に長次郎が
口を出入りなすとぞ
この事はむかしより
さまざまにいいつたえへり

柳女

若き女の児いだきて
風のはげしき日柳の下を通りけるに
咽を枝にまかれて死しけるが
其の一念柳にとどまり
夜な夜な出でて口惜しや
恨めしの柳やと泣きけるとなん

帷子辻

檀林皇后の御尊骸を捨てし故にや
今も折りふしごとに女の死がい見えて
犬烏などのくらふさまの見ゆるとぞ
いぶかしき事になん

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