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【カエルの楽園】「三戒」を守れば楽園は維持される。ホント~?【百田尚樹】

小説『カエルの楽園』表紙

小説『(百田尚樹 著)』の感想レビュー。

あらすじ

ダルマガエルの襲来により、故郷の国から旅に出たアマガエルのソクラテスが、苦難の道のりの果てに友達のロベルトとたどり着いたのは、岸壁の頂上にある平和で豊かなツチガエルの国ナパージュ。
ついに新天地を見つけたと安堵するソクラテスとロベルトであったがツチガエルたちのほとんどが奇妙な考えを持っていることに気付く。
カエルの楽園のナパージュの平和は、「三戒」(カエルを信じろ、カエルと争うな、争うための力を持つな)によって守られているのだという。
平和なナパージュでの暮らしの中で「三戒」に心酔するロベルトに対し、今一つ「三戒」を信じきれないソクラテス。
彼はナパージュで一番の物知りと言われるデイブレイクや毒舌な嫌われ者のハンドレッド、北の山に棲むワシのスチームボート、ヌマガエルのピエール、ウシガエルと戦えるほどの強さを持つが故に嫌われているハンニバル三兄弟などに会い、「三戒」の起源やナパージュ周辺の状態を知ると共に三戒に対する疑念を募らせる。
そのナパージュに、南のウシガエル達が迫ってきていた。
「三戒」は、ナパージュを救うことができるのか・・・?

感想

ソクラテスがたどり着いた国は果たして楽園だったのだろうか?
確かに楽園だった。
けど、楽園を維持するにも力が必要なんだな・・・
読み終わってみてそう感じました。

僕がこうやってのほほんと本のレビューを書けるのも、
国の重鎮やエリートたちが日本を維持してくれるからなんだよなぁ・・・
なんてしみじみ。

本著の内容も、どことなく日本が抱えている問題と似ている部分があるんだよね。
なんか既視感があるような気がして調べてみると、ナパージュ(NAPAJ)は、
JAPANをローマ字で逆読みしたもの。なんだとか。
※作者は明言していません。

じゃ、ナパージュを日本だと仮定すると、
ウシガエルは?
ワシ(スチームボート)は?
エンエンは?
・・・いろいろ推理するのも面白い。

童話風で小学校高学年くらいの子から読める内容で、難解な表現や使われていない。
現代の日本を風刺したわかりやすい作品。
こういった問題は言葉にして伝えようとすると、伝者の思想が入っちゃうからね。
まぁ、作者が居る以上はある程度の思想が入ってしまうのかもしれないけれど・・・

僕個人としては、とても中道に感じた作品でした。
国家に限らず、コミュニティーに属する以上は常に敵がどこかしらに潜んでいるかと思います。
そういった問題意識を持たせるためにも、子供に読んでもらうには良い作品かと。
また、読書をしない世代や、国際問題?なにそれ?な世代にも読むと意識が変わりそうな作品。

オススメです。

なお巻末にはこう書かれていました。

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体などとは一切関係ありません。

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