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【鴉】弟の死を追ってたどり着いたのは宗教が支配する村【麻耶雄嵩】

『鴉』ハードカバー表紙

小説『鴉(麻耶雄嵩 著)』の感想レビュー。

もくじ

あらすじ

かつて埜戸(のど)と呼ばれていた、現在は地図に載っていない名前のない村。
弟・襾鈴(あべる)の失踪と死の謎を追って、村へ足を踏み入れた兄・珂允(かいん)は、突如無数の鴉に襲われ負傷する。
大鏡様という現人神によって支配され、外界から遮断された、非文明的で排他的な村。
珂允のように外から来た者は「外人」と呼ばれ忌み嫌われる存在。珂允という異質な存在が滞在する、
そんな状況で、大鏡の信奉者・遠臣が何者かに殺害される。

感想

兄が弟の死の理由を探すためにやってきた村で起きる連続殺人。
閉鎖的な村の風習と、謎の宗教とが絡み合って・・・というのが本筋。

珂允にとって、連続殺人は自分には関係ないことのはずなんだけど、
珂允はそれを弟の死と絡めてしまい、色々と巻き込まれてしまう。

閉鎖的な村が外人(外から来た人)に対しての排斥が恐ろしい・・・
村人A「あいつが来てから人死にすぎじゃね?」
村人B「絶対怪しいよ!」
村人C「よっしゃ、ボコろうぜ!」
→闇討ちされる
恐ろしい世界ですわ。

ミステリー部分としては、
村の秘密はうーんだった。
設定としては面白いけど、あり得るのかな・・・って。

大鏡様が傀儡になっていたのが良かった。
無限に生きれる人はいないし、真実を目にしてなお信仰できるのか?って話ですよ。

色々気になったこと

烏について

夕方になると烏の集団が襲い掛かってくる村・・・
大鏡様が操っているのか!?
→ただの自然現象でした。

漢字が難しい

・珂允(かいん)
主人公

・襾鈴(あべる)
主人公の弟
襾の字初めてみたぞ!
”あ”で変換しても出てこないし・・・

おおう。かぶさる。かぶせる。
部首の一つ。おおいかんむり。常用外、旧字体の漢字の部首してはこちらを用いる。

漢字辞典onlineより

・蝉子(せみこ)と松虫(まつむし)
烏に襲われた珂允を保護してくれた千本家の娘たち。
松虫・・・?
あ、女性だったわ!←たまに名前が出てくると忘れている

・櫻花(おうか)と橘花(きっか)
こっちは男の兄弟
名前がまた女性っぽい印象で、読んでてあ、男だったわ!って何回かなった。

殺人者に現れる痣

ウソ?昔は神通力があった?
それとも、犯罪を犯した信者は心理的な負荷から身体に影響を及ぼすようになる?とか
形骸化した教義って感じがするなぁ

記憶に残った言葉

老人には二つのタイプがあると珂允は思っている。
老いの哀しさを感じさせる者と、年輪の蓄積を感じさせる者との二つの。

前者は単なる人生の残滓に過ぎないが、
後者は今なお人生を手玉に取ろうとしている。

年を重ねれば重ねるほど、今まで生きてきた密度の差が出るよね。

ネタバレ感想

ここからネタバレ感想。
!!注意!!

時系列が違う

櫻花と橘花は若かりし頃の珂允と襾鈴。
弟になりたかった兄は、弟を殺害するも、
コンプレックスの晴れない兄は心の中に弟を生み出し、二重人格者となる。

村人全員が色盲

村人全員が赤を認識できない色盲でした!
赤を認識出来るのは大鏡様だけ!
鬼子は正常な目を持った人のこと!

村人が何人いるかしらないけど、全員が色盲ってのは無理がないかい?
外から人が入ってくることもあるだろうに。

案外、鬼子もばれないように潜んでいるのかも?

珂允の死

なんか唐突に死んだなーという印象。
襾鈴と同じ死因にしたかったのかな?

メルカトルも謎の多い人だった・・・

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