小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠(相沢沙呼 著)』の感想レビュー
あらすじ
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。
彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。
しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。
一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。
一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。
だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた―。
感想
ちょっと虚弱気味で、天然で、美人で、賢い城塚ちゃん。
『神様のカルテ』のハルしかり、
『ビブリア古書堂の事件手帖』の栞子さんしかり、
男はこういうの好きだろう?
という要素盛りだくさんのあざとい表現はなんだかなぁ・・・
実際にこんな人居るわけないって。
・・・でも、嫌いじゃない。
これだけは伝えたかった。
翡翠ちゃんは、被害者や殺害現場を霊視することで、
犯人が”視えて”しまうんだけど、そこに科学的根拠は何もない。
そこに理論づけをしていくのが推理小説家の香月史郎。
探偵役の香月と、助手役の翡翠が警察から依頼されて難事件をどんどん解決する探偵もの!
というのは三話まで。
四話からは、幕間で登場していた連続殺人鬼の話。
連続殺人鬼は、一定の年齢層の女性を狙い、腹部を刺して失血死させる。
殺人鬼は用意周到で、まるっきり接点のない被害者たち、
セキュリティの薄い地域に住んでいる相手を狙っており、
さらには、性的暴行など被害者から犯人に繋がる情報は一切出てきていない。
殺した場所と遺棄した場所も別々。
性的暴行は行われておらず、死体に自分の痕跡は一切残さない。
殺すことを楽しんでいるであろうシリアルキラーそのもの。
そんな相手と対峙することになった翡翠だけど、味方に香月はいない。
一人の力でなんとかしなければ・・・
と、最終話でようやく作品通り主人公をやる翡翠なのであった。
正直、三話までは、殺人事件なんだけど、
翡翠と香月のラブコメ感も演出されていて正直読むのがしんどかった。
なんでこんなのがこのミステリーがすごい1位をとっているんだろう?
と思ったけど、最終話を読んだら納得の出来だった。
翡翠の天然っぷりに読むのが辛くても最終章を30ページほど読み進めて欲しい。
そうすればこの小説の面白さに気付けるから。
前三章は、最終章の後半を盛り上げるためだけに存在している。
最後はノンストップでした。
オススメ!