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【みをつくし料理帖1】【八朔の雪】料理を通しての人情時代小説【高田郁】

『八朔の雪』文庫表紙

みをつくし料理帖シリーズ『八朔の雪(高田郁 著)』の感想レビュー。

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もくじ

あらすじ

神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。
店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。
大坂と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。
しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが・・・・・。
料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!

感想

江戸時代を舞台に料理を通して交流を描く人情小説。
主人公の澪はなかなか悲惨な人生を送っており、

・8歳の時、「苦労の多い人生だが、その苦労に耐えて精進すれば、必ず青空が拝める“雲外蒼天(うんがいそうてん)”の運命にある」と言われる
・同年、水害で両親を失い天涯孤独となる
・『天満一兆庵』の女将、芳に助けられ、天満一兆庵の奉公人になる
・天満一兆庵が全焼し、芳と二人で路頭に迷う
・江戸に息子がのれん分けで出店しているので頼る
・店は潰れており、息子は行方不明
・澪と芳は江戸で息子を探しながら貧しい生活をしている・・・

というところが物語のスタート。
そこから、お稲荷様の神社を綺麗にしていた澪を蕎麦屋の主人種市に拾われ『つる家』の奉公人として働くことになり、
様々な人に助けられ店を切り盛りしながら成長していく物語。

江戸に出てからも苦労が絶えないけど、それを乗り越えて成長していく澪。
それを見守り手助けしてくれる周りの人々。

成長と人情の内容でとても読みやすい。
オススメ!

作品は10巻もあるらしいから続きも読んでみようと思います。
一巻でかなりのことをやっちゃっている。
マンネリ化しなければいいけど・・・

各章あらすじ

狐のご祝儀~ぴりから鰹田麩~

大阪で料理修行していた澪は江戸の味付けに四苦八苦していた。
店主の種市に拾ってもらった手前、なにか役に立ちたい!

そうして考案したのが、鰹だしを取った後の出枯らしを使った鰹田麩だった。
刻んだ唐辛子をいれてピリ辛味にした鰹田麩は、リサイクル品の割には売れ行きが良く、
日持ちする料理ということも相まって持ち帰り客が続出。
店の看板メニューになるのだった。

八朔の雪~ひんやり心太~

種市と医者の源斉に連れられて遊郭公開日を見学した帰りに食べた心太は大阪のそれとは違っていた。
澪は心太を独自アレンジし、店で売り出す。

しかし、季節外れの心太。
初物好きな江戸の人々は見向きもしないだろう・・・

種市の提案で、最初は試供品を出し、
期間限定販売とすることで、心太の売上を伸ばすことに成功するのであった。

初星~とろとろ茶碗蒸し~

種市が腰を壊し、厨房に立つことを断念し、
澪に店を譲った。

澪は、種市ほどのそばの腕前が無いことを自覚し、
自分のメニューで店を切り盛りしていくことを決める。

しかし、種市の蕎麦目当てできていた客足は遠のき、

戻りカツオを使った握り飯『はてなの飯』を考案し、
客たちの胃袋を掴むと、

次に考案した『とろとろ茶碗蒸し』も人気が出る。
茶碗蒸しは、
・たまご
・銀杏
・ゆり根
・エビ

と病人食としても優秀で持ち帰りできるようにしたところ、
売上は爆増!

とうとう、とろとろ茶碗蒸しが料理番付の関脇に乗るのであった!

夜半の梅~ほっこり酒粕汁~

つる家を燃やされてしまった。
無き娘の名を冠したお店を燃やされ、意気消沈し若干ボケ始める種市。

澪も目に見える悪意と暴力に怯えてしまうものの、
芳の激励もあり、露天商として再起を図る。

露店で売ったのは大阪では賄いメニューとして作られていた酒粕汁。

他店に真似されるものの、露店で食べる暖かメニュー
本家本元の味ということで、他の追随を許さなかった。

そこで得た売り上げと、
旭日昇天からの援助もあり、つる家を再興を目指すのであった。

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