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【みをつくし料理帖11外伝】【花だより】感想レビュー【高田郁】

みをつくし料理帖シリーズ『花だより(高田郁 著)』の感想レビュー。

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もくじ

あらすじ

澪が大坂に戻ったのち、文政五年(一八二二年)春から翌年初午にかけての物語。
店主・種市とつる家の面々を廻る、表題作「花だより」。
澪のかつての想いびと、御膳奉行の小野寺数馬と一風変わった妻・乙緒との暮らしを綴った「涼風あり」。
あさひ太夫の名を捨て、生家の再建を果たしてのちの野江を描いた「秋燕(しゅうえん)」。
澪と源斉夫婦が危機を乗り越えて絆を深めていく「月の船を漕ぐ」。
シリーズ完結から四年、登場人物たちのその後の奮闘と幸せとを料理がつなぐ特別巻、満を持して登場です!

感想

本編終了から五年後・・・

花だより~愛し浅蜊佃煮~

春の頃、つる家の面々と種市の話。
行き倒れた老人を介抱した。
老人は水原東西という易者と名乗り、種市は面相を見てもらうことに。
その結果「今年の桜は見れるけど来年の桜は見れない」という結果が出てしまった。
落ち込み寝込んだ種市だったが、死ぬ前に澪に会いたい!という一念で東海道を使って京都まで向かうことにする。
同行者は、スランプ中の清右衛門と
箱根に湯治に行くりうの四人。
無事、澪に会うことができるのか・・・

病は気から。ハッキリわかんだね。
種市らしい動機で出発するものの種市らしい幕切れで旅は終了。
いずれは京都へ行き、澪と会うんだろうけど、それはいつになることやら・・・

涼風あり~その名は岡太夫~

夏の頃、小野寺数馬と妻、乙緒の話。
乙緒は笑わない女性だった。
武家の娘として育ったからには政略としての結婚は覚悟していた。

義理の姉から、夫は当時想い人が居り、
その人との結婚する予定だった。
しかし、自分との結婚話が持ち上がり、その結婚はご破算になった。
自分が居なければ夫は想い人と結婚して---
そう思ってしまうと、悪阻が今まで以上に強くでて、
何も喉を通らなくなってしまった---

小野寺数馬こと、小松原様のその後を描いた短編。
つる家の面々からは裏切者扱いされ、
以後、本編にはほとんど登場しなかった。
元気でやっているみたいで何より。

秋燕~明日の唐汁~

秋の頃、野江の話。

大阪では、女性が店主になることはできない。
女性店主の期間は臨時で三年間。
その刻限が近づいてきている。

番頭の辰蔵と結婚するべきなのだが、
野江は自分のせいで亡くなった又次を忘れられなかった。

野江は、
吉原に売られて、
又次との出会いと、
どうやってあさひ太夫として祭り上げられるに至ったかを語り出す---

又次、最初は翁屋の住人ではなかったのね。
そりゃ、野江に恩義を感じるわけだ。
野江と又次の絆を再認識する内容。
でも、又次はもういない。
野江は新しい一歩を踏み出す。

月の船を漕ぐ~病知らず~

冬の頃、澪の話。
コレラが流行し、夫の玄斎は患者の看病に大忙し。
澪の店を出している店舗の賃貸主もコレラで死亡し、
息子が相続し、澪に立ち退きを要求した。

玄斎は、自分の患者を誰一人コレラから救うことが出来ずに疲労で倒れてしまった。
立ち退きのため店を閉めた澪は、玄斎のために料理を作ろう!と頑張るが、
玄斎の食欲は戻ることがなかった。
玄斎の食欲を戻すためには?
澪はどうすれば玄斎の食欲が戻るのかを思考する---
そうだ、江戸の味を再現しよう
澪は玄斎の故郷、永田家の味噌づくりを始める。

故郷の味って忘れられないよね。
食の好みって遺伝的要素が強いんだって。

種市一行が京都入りして澪と合流するラストシーン、良いね。

COMMENT

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