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【みをつくし料理帖4】【今朝の春】感想レビュー【高田郁】

『今朝の春』文庫表紙

みをつくし料理帖シリーズ『今朝の春(高田郁 著)』の感想レビュー。

シリーズの感想はこちら

もくじ

あらすじ

月に三度の『三方よしの日』、つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。
そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁使いの指南役を任されて―――(第一話『花嫁御寮』)。

戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。
少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは―――(第二話『友待つ雪』)。

おりょうの旦那伊左三に浮気の疑惑が!?
つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは―――(第三話『寒紅』)。

登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる家。
澪が生み出す渾身の料理は―――(第四話『今朝の春』)。

全四話を収録した大好評シリーズ第四弾!!

感想

花嫁御寮~ははきぎ飯~

神無月の頃の話
お酒を出す三方良しの日も順調だったある日、小松原がつる家に顔を出した。
小松原は顔がむくみどことなく疲れた様子。
帰り際に植物の種を忘れていったので調べてみると腎臓の病に効くほうき草の実であることが分かった。
ほうき草の実は食べれるようになるまで大変なのだが謎の貴婦人の助言もあり無事調理し、小松原に食べさせることができた。
また同時期に、美緒が料理修行にきた。
花嫁修業の一環だというが・・・

美緒と小松原がくっつくのかと思いきや、全然関係なかった。
澪がまた一つ小松原に近づくエピソード。

友待つ雪~里の白雪~

戯作者、清右衛門があさひ太夫の真偽を確かめて一冊の本にするらしい。
編集者、坂村堂とのやりとりをつる家で聞いていた澪は気が気じゃなかった。
日がたつにつれ徐々に核心に迫る清右衛門。
蕪好きの清右衛門は、
「俺の舌を満足させる蕪料理を出せれば何でも一つ言うことを聞いてもいいぞ」
と言った。
澪は清右衛門が満足する蕪料理を出した後、あさひ太夫との関係を全て話し本の出版を止めるようにお願いする・・・

澪が四千万両であさひ太夫を見受けする。
非現実的な額と、女性が女性を見受けする。
前例はあるものの大変な道のり。
澪の目的と本の方向性が決まった瞬間。

寒紅~ひょっとこ温寿司~

年末の話
伊佐三が新宿へ出稼ぎに出ている間に伊佐三の親方が訪ねて来た。
親方の話によると、伊佐三は暇を見つけては新宿にある水茶屋のお牧という茶屋娘に入れ込んでいるらしい。
おりょうはウチの亭主に限って、と一笑するものの不安な様子。
そんな中、件の娘お牧がつる家を訪ねてくる。
おりょうに「伊佐三をくれ!」と宣戦布告して去っていく。
そんな事があっても伊佐三は「浮気はしていない」といいつつも、茶屋通いを止めなかった。
伊佐三の心が離れてしまったと感じたおりょうは離婚を決意するのだった・・・

太一の育児方法で意見の割れるおりょうと伊佐三。
喧嘩中に流れる伊佐三の浮気話。
けど、それは太一を思ってのことだったのだ!
血は繋がらなくとも親子愛なんだよなぁ

今朝の春~寒鰆の昆布締め~

登龍楼とつる家の料理が均衡していたため、年末の料理番付が発行されることはなかった。
みなががっかりしていると、料理番付の版元である聖観堂の一人がつる家にやってきて、
・今年は料理番付ができなかったこと
・同じ具材をつかって登龍楼と勝負してほしいこと
を伝えに来た。
種市は快諾だったが、皆の笑顔のための料理を作る澪は、勝負のための料理を作ることに難色を示したが、
周りの推薦もあって勝負を行うことになった。

澪は周りの期待にされることがプレッシャーとなり潰れる寸前まで自分を追い詰め倒れてしまった。
料理勝負の行方はどうなるのか・・・?

鰆(さわら)を使った料理勝負。
つる家は昆布締めというシンプル料理に対して、
登龍楼は食通は上手いと言わざるをえない知る人ぞ知る料理を出す。
結果、登龍楼が勝つけど、市民はその結果に納得がいかず出版社に抗議が殺到。
澪はその噂を聞いて何を思ったのか?

がむしゃらに精進することと
勝ちたいという欲とどう付き合っていくか?
澪がまた一つ成長したエピソード。

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