ノンフィクション

【野田知佑】【川の学校】川遊びはこんなに面白い!子供を川ガキに育てよう!

ノンフィクション『川の学校』表紙

『川の学校 吉野川・川ガキ養成講座(野田知佑 著)』の感想レビュー。

子どもの成長と日本の川で遊ぶことの楽しさを教えてくれる本。
自分から楽しいことを自主的にやる。
という、体験は素晴らしいよね。

もくじ

あらすじ

川遊びをする。何をやってもいい。自由だ。
だから、自分で決めた遊びを責任をもってやること。
細かい指図はしない。
だから、自分で考えて、自分で判断して遊ぶこと。

2001年から始まった小5~中3までの子どもに川遊びの楽しさを教え、
川ガキを量産する『川の学校』。
2012年までの活動記録!

謎ラップ

埼玉生まれ♪関東平野育ち♪
育った水は利根川水系♪

泳ぎを覚えたプール♪
同じ場所をひたすらループ♪

管理された水遊び 何が楽しい?
川の冒険知らない俺らフール♪

ドヤァ←得意げ

僕の川遊び事情

とまあ関東平野で育ち、身近な川は中流域の濁った川のみ。
親父に家族のイベントで連れていかれたキャンプサイトで泳いだ経験は何度かある。

その中でも川の原体験として記憶に残っているのが、小学5年生の夏休みに旅行で行った川。
場所はどこだか忘れたけれど、一泊二日のバンガローキャンプだった。
友達Aの家族+親戚?+僕+友達Bという構成で、親の居ない遠征でワクワクしたもんだ。

昼過ぎに到着して一日中川で泳いで、泊まったバンガローは子ども三人のみ。
なぜか、子ども三人だけでバンガローに泊めさせてくれてた。

布団三枚と白熱電球がぶら下がっているだけのバンガローというより掘っ立て小屋で、
夜通しくだらない話をしたことを覚えてる。

寝るのが遅かったのに翌日も早起きで川で遊んだ。
帰りは気づいたら家だったなぁ・・・

感想

自然を通して成長する子どもの姿を綴った本で、文章と写真からそれがしっかりと伝わってくる。
大人になって振り返ってみると、思春期の頃の非日常の体験って強烈に記憶に刻まれている。
本を読んでいくうちにそんな自身の体験がふわっと思い出せる不思議な本。

川の学校は、徳島県の川を利用して年五回通しで毎回二泊三日(一回目のみ一泊二日)開催される。
それを2001年から続けていて、2018年は第18期。

初回はオドオドしていた子供たちも二回、三回と回数を重ねることに川遊びの楽しさに気づき、自発的に行動を始める。
親が居ない場所で、尊敬できる大人、年齢層の違う男女と一緒に楽しい事する。
こりゃ成長しますわ。

その成長がとにかく楽しそうに描かれてる。
所々に挿入されている写真も楽しそうでなぁ

著者が子どもに話しかける場面、
子どもの親に子どもの様子を話す場面、
親が自宅での子どもの様子を話す場面、

ゲームでも漫画でも小説でも成長物語ってのは良い。
どれも心が温かくなる。
オススメです。

あと、川を取り巻く状況にも警鐘を鳴らす本でもある。

作品のハイライト

川の学校の講師には、ぼくの仲間で川遊び、釣り、潜り、魚捕りが好きで、
昔川ガキだった人、 および吉野川の地元の職業漁師、元川ガキに頼んできてもらった。
関東、関西及び九州在住の人たちでギャラはなし。みんな手弁当である。
名前をざっと挙げると、
立松和平
夢枕獏
椎名誠
C・W・ニコル
佐藤秀明
辰野勇
川上裕
林政明
熊谷栄三郎
藤門弘
森口玄七
伊勢達郎
などで、僕が校長を務める。
参加費は、年間七万五千円。
特徴は一回だけの参加ではなく、年を通じて五回参加すること。
かくして、われわれは絵の前で成長して、
どんどん変わっていく子供たちを見ることになった。

飛び込み!

上流のほうから歓声が聞こえた。岩の上から飛び込んでいるのだ。
ハンチョウの青年スタッフが怖くてなかなか飛び込めない少年少女たちに下から声をかけている。

「自分の好きなものを大声で叫んで飛び込め!」
一人が、「松井秀喜───!」
と叫びながら、五メートルの岩の上から飛んだ。

「杏仁豆腐───!」

「おにぎり───!」

好物からクラスの女の子まで口々に叫びながら飛び込む。

「小早川・・・〇〇子ちゃん!」

長い名前をいった子は、都築を水の中でブクブクいった。
ぼくの横で見ていたスタッフの青年がいった。

「あの子たちが飛び込むたびに何かパチンと割れる音が聴こえる気がする・・・」
うまいことをいう。
それは彼らを閉じこめていた殻が割れる音だ。

子供の日記から

「キャンプ中はいつもこのまま時間よ止まれ、ずっとここにいたいと思う。
でも神様は意地悪でどんどん時が流れていく。二泊三日なんてあっという間だ」

「毎日が面白くてサイコー!川の学校が本当の学校ならいいのに」

「今日はコウセイを穴に埋めた。河原に砂を掘ってみんなで埋めた。
面白かった。コウセイも喜んでいた」

「ぼくは十メートルを飛んだ。飛び込みを五回した。ぼくは鳥になった。うぉー」

親の見えないところでも子は育つ

「あの子は自分で考えて魚を突いたんですよ。
いちいち手を取って教えたりしませんでした。自分で遊びを掴んだんです。
あの子は偉いですよ。今、魚捕りが面白くて仕方がない。
どんどん川にやってください。彼は自分の身は自分で守ることができます。
心配しなくていいです」

ぼくはショウタが二メートルの淵に潜り、何度も失敗して、魚を突いて上がってきたのを見ている。
その時のショウタの輝く顔。
ショウタはその日、何かを自分に証明したのだ。

「その魚はどうしたんですか?」

「みんなで争って食べました。ショウタは誇らしかったでしょうね。
さばく時も真剣な顔つきでしたよ。
みんなが身の部分を食べたあと、彼はナマズの頭を別に焼いて食べていました」

「えーっ、そんな!」

少年たちは親の見えないところでどんどん大きくなっている。

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