記憶を何度でも安全に消去できる即効性のある薬、DCZ(デスクロロクロザピン)の開発に成功したそうです。
・・・は?ヤベーヤツじゃん。
・作動薬に比べ約1/100の量で効果を発揮。
・前頭葉の「スイッチ」を切ることでサルの記憶機能を繰り返し変化させることに世界で初めて成功した。
・24時間で効果が消え、何度も利用可能。
参考
>日本医療研究開発機構
ナゾロジー
もくじ
前処理
DCZは、先に作成した人工受容体のみに作用する薬。
なので、先に頭の中に人工受容体を作成しなくちゃならない。
受容体とは、生物の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと。
レセプターまたはリセプターともいう。
・外界や体内からの刺激を受けとる器官のこと。
・外界や体内からの刺激を受けとる細胞のこと。
・外界や体内からの刺激を受けとる分子やその複合体のこと。
全て受容体。
そんな受容体を脳内に人工的に作り出しちゃうのが人口受容体。
作り方
脳の特定の場所に注射で注入。
「hM4Di」と呼ばれる人工受容体が神経表面に生成される。
DCZはそこに対して効果を発揮するのだ!
作用イメージ
脳の中に人工的に作った記憶OFFスイッチ(hM4Di)。
DCZは、記憶スイッチに対するトリガー。
DCZを使うことで、記憶スイッチを強制的にOFFにできる。
→記憶を読みだすことができない!
お猿さん実験
サルの目の前で報酬となるエサを左右のフタのついた箱の中に隠し、次にサルと箱の間をカーテンをひいて、箱を一瞬だけ(0.5~10秒)隠し、すぐにまたカーテンをあけます。
サルが馬鹿でない限り、エサが左右どちらの箱に隠されたかを覚えています。
オフスイッチを仕込まれただけのサルも、エサがどちらに隠されたかを覚えていました。
しかしオフスイッチを仕込んだサルに対して、カーテンで仕切る前にDCZを投与した場合、僅か10秒カーテンで仕切るだけで、サルの正答率は50%まで落ちました。
2つのうち1つが正解の問題で正答率50%ということは、つまり完全なあてずっぽうです。
ただ興味深いことに、サルはエサがどちらに入っていたかは完全に忘れていたものの、フタをあけようとしたことから、エサがあること自体は忘れていなかったのです。
つまりオフスイッチとDCZによる記憶消去は空間的な記憶のみを選択的に奪っていた、ということになります。
人間に例えれば、左右どちらの道の先に財宝があることは覚えていても、どっちだったかがわからなくなってしまった、ということです。
短期記憶を抹消するってこと?
まとめ
記憶の抹消・・・
危険な実験であることは間違いないんだけど、
あの小説やあのゲームを記憶ゼロからもう一度楽しめたら・・・
なんてワクワクもある今回の実験。
人間のブラックボックスがどんどん解明されていくのは面白いね。
脳のやる気スイッチを操作できるようにもなってきているらしいので、将来が楽しみすぎる!
過集中とか経験してみたいんじゃ~っ!