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【R帝国】一党独裁で監視された国家でも真実を伝えようともがく人々と絶望の物語【中村文則】

小説『R帝国』ハードカバー表紙

小説『R帝国(中村文則 著)』の感想レビュー。

資本主義で民主主義で経済大国R国。
その実は、全体主義で独裁国家。

技術が発展したが故の監視社会ディストピア小説。

あらすじ

舞台は近未来の島国・R帝国。ある日、矢崎はR帝国が隣国と戦争を始めたことを知る。
だが、何かがおかしい。
国家を支配する絶対的な存在″党″と、謎の組織「L」。
やがて世界は、思わぬ方向へと暴走していく――。
世界の真実を炙り出す驚愕の物語。

感想

R帝国に攻め込んできたY宗国。
憤慨するR帝国民だったけど、それはY宗国と戦争するためだった。

R帝国では、HPとよばれる独立した性格を持つAIを搭載した携帯電話が普及している。
便利なんだけど実は、R帝国が不穏分子を監視するためで・・・

高度に技術が発展した世界の話で、現実でもこんな国が今後発生するのでは?と思わせる内容。
※既に存在している可能性も?

現実の自分に対してハッとさせられる言葉が多かった。
自分で考えているようで実はメディアに動かされているだけなのかも・・・?
読了感は沈鬱で、ほんの一かけらの希望がのこるだけ。
けど、嫌いになれない。オススメ

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ハッとした言葉

七百人の死者は犠牲者ではない、とAは思う。
彼らは英雄だ。
(中略)
なぜなら、我々はR人だから。
彼らの記念碑を建てる寄付金運動がネットで始まっている。
加わろうとAは思う。
寄付はしないが言葉で応援しよう。
だがその前に、この開戦に反対する奴を一人一人攻撃しなければ。
Aは針金のような細い指をPCの前で動かし、敵を探し始める。

>寄付はしないが言葉で応援しよう。
この台詞、なかなか出ないよ。
現実に居るのかなこういうヤツ・・・
うーん、でも、自分も該当するかも?

”工作員を殺せ”
”殺す前にレイプせよ”
Aは書き込みを続ける。
だが不意に
”事実かどうかわからないじゃないか”
という書き込みを見つけ、驚く。
こんなことを書き込む人間が?
事実?そんなものに何の意味がある?
こいつは何を言っているんだ?
あの左翼女が工作員だった方が排除できるからR帝国にとっていいに決まっているだろ?
こいつはそんなこともわからないのか?

事実?そんなものに何の意味がある?
この言葉震えるわ。
良し悪しは別として、信じたいものを信じたいという真理ではある。

>こいつはそんなこともわからないのか?
そして確信犯というね。

幸福に生きることと、正しく生きることは違う

みんな嘘ついたり、自分を騙して、
気づかないふりして幸福に生きてるのかな?

人間が欲しいのは、真実ではなく半径5メートルの幸福なのだ

正しく生きて、汚職を公言したのに誰も信じなかったことに対して。
確かにな~
辛い真実より、幸福な嘘かもしれん・・・
そこを乗り越えた人間が克己心をもって歴史に名を残す人物になれるのかも?

”貧しくても充実して生きていられる”
”金持ちは下品で本当の幸福を知らない”
とのライフ思想をメディアを使い広げてやることで、
国民の多くは自分たちをみじめと思わずにいられる。
我々は彼らにプライドも与えるのだ。
彼らは不味しいのにプライドを保っていられるのだ。

俺もさ、充実していればお金なんて・・・
って考え方の人間なんだけど、
もしかしたら洗脳されているのかもしれない。

お金なんて無くても生きていけるけど、
あったほうが選択肢が増えるよな。

金不要論って、貧乏の言い訳につかってたけど、
なんか情けないや。
収入、増やす努力をしよう。

我々は嫌なのだ。
日常で、女性から性の刺激を受けるのは。
動揺し、時にはなぜか悔しくもなる。
手に入るかわからない女性からの、性の刺激はストレスだ。

R教の女性に対する露出を控える教文について。

露出の多い女性を見るのは眼福だと思っていたけど、
見るだけでそれらに触れることすら叶わないんだよな・・・
そう考えると、相当なストレスを感じているのかもしれん・・・

まとめ

この小説の希望はサキ(と少数のHP)しかない。
その希望も握りつぶされることが濃厚なムナクソな終わり方だけど、
なぜか嫌いになれない。
今後、こういった国が生まれるのでは?
もしや、自分も片足を突っ込んでいるのでは?

読了後、沈鬱になりながらも考えさせられる小説。オススメ

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