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【私は存在が空気】超能力を持った10台の男女がおりなす六編のラブストーリー【中田永一】

小説『私は存在が空気』ハードカバー表紙

『私は存在が空気(中田永一 著)』の感想レビュー。

もくじ

本の紹介

ある理由から存在感を消せるようになった高校生、鈴木伊織。
彼女を認識できるのは、友人の春日部さやかだけ。
けれど、さやかと話すうちに、伊織はバスケ部で人気の上条先輩のことが気になりだした。
ついにはその〝体質〟を活かし、彼の後をつけ始め……(表題作『私は存在が空気』)
普通じゃない超能力者たちの恋。それは切なくて、おかしくて、温かい。
名手が紡ぐ、優しさ溢れる六つの恋物語。

少年ジャンパー

あらすじ

容姿が壊滅的に不細工という理由で同じ高校の不良にカツアゲされたため
引きこもりになってしまった大塚カケルは、
ある日、自分に特殊能力があることに気が付いた。
それは、地面から両足を放すと自分が行ったことある場所に一瞬でジャンプ(ワープ)できるというもの。

その能力を使って、瀬名ヒトエ先輩を事故から救う。
そこから瀬名先輩にアッシーにされるが、カケルもそこまで嫌じゃない。
そのうち、先輩の遠距離恋愛中の彼氏の浮気調査のために能力を使わされるようになるが・・・

感想

一番面白かった作品。
彼氏持ちの女性に惚れたってどうしようもないんだよ(経験談

終盤、自分の足で向かうグランド・キャニオンの下りは胸アツ。
そこから瀬名先輩に誕生日プレゼント。
けど、先輩と彼氏の仲は続いていて・・・
くぅ~酸味強めの甘さだよォ~ッ!!

僕もこの能力欲しいなぁ

私は存在が空気

あらすじ

存在を限りなく希薄にできる能力を持つ鈴木伊織(すずきいおり)。
その能力を看破できる友人春日部さやか(かすかべ)。
さやかはとある日、強姦未遂に遭遇してしまい登校拒否になってしまう。
覆面越しにみたあの目はもしかしたら・・・
伊織はステルス能力を駆使して犯人を捜すが・・・

感想

最初は能力を生かしたミーハーストーカー女かと思ったら、
こんな使命感で動いていたなんて!

家に侵入してから終幕までの展開は手に汗握る。
友人にだけ能力が効きづらい理由もわかって面白かった。

恋する交差点

あらすじ

”わたし”はスクランブル交差点を通ると、かならず別のものに絡まってしまう。
そのおかげで今の彼に出会えた。

ただ、彼と付き合うようになってからわたしはスクランブル交差点を利用していない。
交際は順調に進み、結婚を考えるようになった。
人ごみにもまれると必ず手がはなれるわたしたちに結婚生活をやっていけるのか?
そんな疑問すら浮かんでしまう。

わたしたちは今、渋谷のスクランブル交差点に居る。
わたしたちは離れずに渡りきることができるのか?

感想

本誌最短の6ページの物語。
関わったら迷惑な能力だけど、
克服できなかったら結婚出来ないほどの出来事か疑問。

本人にとってはそれほど深刻な症状なのかもしれないけど。
彼氏からしてみたらなんだこいつ?状態。
それでも結婚したいから嫌々付き合ってあげた感じ←勝手な想像

スクランブル交差点を渡るだけなのに大河を渡るような雰囲気。
障害もあったけど、無事渡りきれてよかったね。

スモールライト・アドベンチャー

あらすじ

郵便で届いたスモールライトで小さくなってしまった”オレ”。

小型犬のぺスにまたがって街に繰り出す。
小さい身長を活かした大冒険!

そういえば、クラスメイトの春風栞(はるかぜしおり)、
オレのコミュニケーション”スカートめくり”をことごとく回避しやがる。
よし、このまま春風の家に行って、あいつのスカートの下からパンツ見てやれ!

感想

パンツを覗きに行くという不純な動機だったのにどうしてこうなった?
些細な動機だったのに関わってみたら重大な事件に巻き込まれてしまった。
みたいな展開割と好き。

オレが活躍している時に、栞ちゃんの意識があったらもっと惚れられていたのに・・・
残念だ。

ファイアスターター湯川さん

あらすじ

住み込み管理人をしているおんぼろアパート立花壮に新しい住人が入居した。
名前は湯川さん。
なんと自分の周囲の熱を操作できる能力(パイロキネシス)の持ち主だった。
木造アパートにそんな人が入居するなんてとんでもない!
なんとかして追い出さなくては・・・
と思っていたけど、住人とは仲良くなるし、
屋根に積もった雪は全部蒸発させてくれるし、
可愛いし・・・
追い出すタイミグを逃したらそのうち事件に巻き込まれて・・・

感想

おっとりとして可愛らしい湯川さんだけど、職業が過激すぎるw
でも、パイロキネシスの適材適所か?
こうやって恨みは連鎖していくのね・・・

湯川さんは今後も拠点を転々としていくのかね?
無尽蔵に熱を放出できるなら、もっといい職業に・・・
いや、能力のことを世間にバレたくないのかな?

こういうおっとり系キャラ好きだわ~

サイキック人生

あらすじ

わたしの家系には見えない手が使える。
それを使ってクラスメイトにいたずらしたら、
霊能力者と勘違いされることに。
能力を他人にバレたらそいつを始末しなければならない。
大丈夫かなぁ・・・?

感想

自分は普通だと思っているのに、
周りから天然、天然言われたらやり返したい気持ち、分かるよ。
わたしこと、星野さんもそんな人間。
幽霊のせいにしていたずらしてたらその手の人と思われるようにw

能力がバレたら始末するって物騒な家系かと思ったら、
最近は全部CGのせいにしているみたい。
割とゆるゆるなんだね。

全体の感想

好きな順ランキング

  1. 少年ジャンパー
  2. ファイアスターター湯川さん
  3. 私は存在が空気
  4. サイキック人生
  5. スモールライト・アドベンチャー
  6. 恋する交差点

日常の中に一つのスパイス(特殊能力)。
その非日常+恋愛をからめた本作。
※一部恋愛要素が薄いのもあるけど。

能力は、
ジャンプ
見えざる手
パイロキネシス
存在感希薄化
なんかは欲しいよね。

特にジャンプ、見えざる手なんかあったら便利だろうなぁ

同一作者の短編集。
なので品質は保証。
内容によって好き嫌いが出ちゃうけど。

同じキャラクターだけどハードカバーと文庫で表紙絵が違う。
自分はハードカバー絵のほうが好き。

COMMENT

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