小説『冷たい校舎の時は止まる(辻村深月 著)』の感想レビュー。
文庫は上下巻で1000ページ越えの大作だ!
もくじ
あらすじ
上巻
雪降るある日、いつも通りに投稿したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。
開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。
凍り付く校舎の中、2か月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。
でもその顔と名前がわからない。
どうして忘れてしまったんだろう---。
下巻
学園祭のあの日、死んでしまった同級生の名前を教えてください---。
「俺たちはそんなに薄情だっただろうか?」
なぜ「ホスト」は私たちを閉じ込めたのか。
担任教師・榊はどこへ行ったのか。
白い雪が降り積もる校舎にチャイムが鳴ったその時、止まったはずの時計が動き出した。
薄れていった記憶、その理由とは?
主要人物の紹介
閉じ込められた八人の男女を紹介
全員、青南学院高校在籍者。
榊は教師、それ以外は3年生。
この中に自分たちを閉じ込めた犯人が居る・・・はず
鷹野博嗣(たかの ひろし)
榊の従弟で深月と幼馴染。
入学金免除のB級特待生で成績優秀。
陸上部に所属しているもののタバコも吸える。
周りによく目が行く人格者なれども、完璧主義者の一面も・・・
片瀬充(かたせ みつる)
ナヨナヨで控えめな性格だけど、芯はあるように思える。
メンヘラに好かれる傾向アリ。
梨香に惚れてる。
菅原(すがわら)
賭け麻雀とタバコで停学。
停学明け初日に校舎に閉じ込められるかわいそうな人。
感情がストレートでワルぶっているけど熱いヤツ。
榊(さかき)
鷹野の従弟。
チャラチャラしているように見えて、生徒思いの先生。
生徒がプライベートで先生の住むアパートに押しかけてくる。
大丈夫かよ?何かあったら警察とか救急車だぞ?
後半、校舎内に居たことが判明。
辻村深月(つじむら みづき)
いじめによる拒食症を発症。
精神が不安定気味。
幼馴染の鷹野や、校舎に閉じ込められたメンバーのフォローによって立ち直る。
が、異空間で不安度が急上昇中。
自殺候補者の一人(と予想)。
清水あやめ(しみず あやめ)
入学金・授業料免除のA級特待生。
絵も上手いけど運動能力は平均以下?
自分たちが閉じ込められた校舎について過去の事例を持ち出しつつ、仮説を述べるものの、
それが校舎のルールに当てはまるのかは不明なので困る。
エピローグを読む限り、その仮説はおおむね正解だったようだけど・・・?
桐野景子(きりの けいこ)
医者の娘で自身の医学部志望。
生徒会の副委員長を務めた。
クールな口調で話すのが特徴。
梨香と幼馴染。
佐伯梨香(さえき りか)
ギャルっぽい印象。
母子家庭で妹二人。
家庭環境がよろしくない。
荒れていた頃に、榊に助けられてからは恋心を持つ。
自殺候補者の一人(と予想)。
推理してみる
校舎から出れないと判明した時点での推理。
結局推理を当てることはできなかったよ・・・
表紙から
上巻に写ってるの女子生徒だし、犯人は髪の長い女だな!
文庫本の表紙を隣り合わせると一枚の絵になる!!
※サムネイル作る時に気がついた
作者名から
辻村深月。
登場人物と同じ名前!?
この女、キーパーソンに違いない・・・
感想
校舎パートの他に、
各キャラを掘り下げるためのパートがある。
この掘り下げパートが結構な量なのよ・・・
個人的には校舎パートだけでもっとページ数を短くして欲しかった。
高校生八人が謎の力によって校舎に閉じ込められる。って展開なんだけど、
脱出のためのルールが清水を中心とした推測の域を出なくて曖昧なまま。
ゲームマスターの匙加減一つでどうとでもなるのがなんだかなぁ・・・だった。
しっかり読み込めば犯人と動機は当てられたのかな?
誰に感情移入する?
性格の違う八人の男女。
全員キャラが立っていて、自分に近しい誰かが必ずいるはず。
誰に感情移入する?
僕は充でした。
学力が上の下なので優等生には感情移入できない。
突っ張っていた訳でもない。
他人に対して壁を作っていた。
という訳で充。
学生時代はこんな感じのあたりさわりなく生きてる感じだったなぁ
今、当時の自分に出会えたら殺意を覚えるくらい気に食わないと思います。
このセリフいいな、ってのも充のが多かったりして・・・
「俺、自分のことが好きじゃなよ」
言うと、改めてその通りなのだと気がついた。
自分で言った言葉がそのまま自分に跳ね返ってくる。
『好きじゃない』ああ、その通りだ。
嫌いだと明確に言えるほどには、強くそれを思えない。
漠然とした不安や明るい絶望は、長く苦しい。
しかしあの日自殺したクラスメートの身にあったものは、もっとそれよりもずっと激しくて刹那的な感情だった。
そして、その短い苦しみの方が人間をより大きく突き動かす。
良いって思うってことは、根っこの方はあまり変わっていないのかな?