小説

【命売ります】売る割には必ず生還するスケコマシ野郎。生命の執着を捨てたら大金手に入れちゃいました【三島由紀夫】

小説『命売ります』表紙

『命売ります(三島由紀夫 著)』感想レビュー。

昔の本は文体や、当時と今の風俗、常識がずれていてピンと来ないことが多く、
読みづらい事が多いので敬遠することが多い。

ところが『命売りますは』非常に読みやすかった。
いったいいつ頃の作品なんだい?

初版    :1968年
文庫版初版 :1998年
文庫版二十版:2015年 ←読んだやつ

ははーん・・・
これは、現代語訳の手直しがされているな?

てか、『三国人』って言葉、普通に出てきたけど
差別用語じゃなかったんだ・・・

もくじ

あらすじ

山田羽仁男(やまだはにお)は広告会社に勤務するコピーライター。
現在27歳で同い年の平均以上には給料をもらっているが、
人間特有のよくあるやつで睡眠薬自殺を決行したが失敗した。

自殺のための身辺整理で身軽だし、一度命を捨てたからなのか、
妙な爽快感があるので、羽仁男は三流新聞の求職欄に広告を出した。

「命売ります。お好きな目的にお使いください。
当方二十七歳男子。秘密は一切守り、決して迷惑はおかけしません」
ライフ・フォア・セイル(life for sale) 山田羽仁男

こうして、山田羽仁男の新しい仕事が始まったのである。

時代背景

作品の年代は明言されていないものの、
1967~1970(昭和42~45)年あたりだと思われる。

終戦(1945年)から20年以上、
東京オリンピックから3年、
国内総生産が2位になった高度経済成長真っ盛りな年代。

そんな日本が舞台。

感想

作中では明言されていないけど、羽仁男は女受けする顔立ち。
えっ?文庫本表紙の男はいったい誰なんだ!?←羽仁男

頭は悪くない、話術もあるし、機転も利く。
生きることに固執していないから度胸もある(ように見える)。
女性も好き。

選り好みせずに依頼を受け、
生に頓着しない行動から依頼を達成しつつ何度も生き残ってしまう。

そんな飄々とした羽仁男の姿をしてハードボイルド小説にカテゴライズされている。

ハードボイルドねぇ・・・
依頼を達成しつつ、自分も生き残るために全身全霊をかける!
というよりは、たまたま生き残っているだけ気がするけど。

『死にたい』けど『死に様』にこだわる羽仁男の姿が好き。
あと、依頼された仕事はちゃんとこなすのもいいね。
そして、周りが勝手に過大評価してきて・・・

死にたい動機が厭世観からきてる感じがしないんだよな。なんなんだろこれ。
最後に流した涙は、生への執着・・・なのかなぁ

オススメ!

映画化したら面白そう・・・
えっ、ドラマあるの!?

解説の感想

本編は現代語訳されていた。
解説は当時のまま。
というか、文化人様がカタカナ英語、専門用語、別作品引用を駆使した
ド低能のお断りの名解説だったので読むのにスゲー苦労した。

例文

エキビジョニスティック(露出狂的)な傍若無人が目に余る。

どうやらファロサントリック(男根中心主義的)露出趣味は人目を逸らすカモフラージュにすぎず、行動主義哲学は仮面であって、

たとえばバローズのターザン小説のジャングルと象徴主義詩人たちの象徴の森とは、行動へのあこがれと行動不能が裏腹になった世紀末的精神状況共通の産物だという議論がある。

低知能的低学歴的語彙不足的頭脳(バカ)のレンゾーは多機能型携帯電話(スマートフォン)から、 大規模ロボット型検索エンジン(google)を駆使しながら読み進めたよ。

単語の意味を調べながら読み切った結果、

『命売ります』は三島由紀夫自身の『死へ傾斜していく魂』が描かれている作品

みたいな結論で締めくくられていた。
本人が自殺した後にこの書評ってずるくね?
結果知っていればどうとでも言えるよナァ。

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