『アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス著)』の感想レビュー。
知的障碍者の青年、チャーリィは、
賢くなれると騙され脳手術を受けた結果、天才的な知性を授かった。
組織の研究員を凌駕する知性を獲得したチャーリィは自問自答を繰り返す。
「知的障害者だったら何をやっても許されるのか?」
そして、組織からの脱走を決意する。
チャーリィ綿密な計画と下調べを行い、
動物実験で同様の手術を受けたハツカネズミのアルジャーノンを連れ組織を脱走する。
平穏な日常を求めるチャーリィとアルジャーノンに対し、
血眼で二人の行方を追う組織。
チャーリィは平穏な日常を手に入れることができるのか?
・・・なんてね?
あらすじ
知的障害のチャーリィ32歳♂は、
他人を疑うことを知らず、
周囲に笑顔をふりまき、
誰にでも親切であろうとする、
大きな体に小さな子供の心を持った優しい性格の青年だった。
そんなチャーリィはかしこくなって周りの友達と同じになりたいと願っていた。
チャーリィは知的障害者専門の学校に通っていた。
ある日、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。
怪しんでいたチャーリィ(主に家族)は、
先に動物実験で同様の手術を受けたハツカネズミ、アルジャーノンの迷路実験を見て、
チャーリィの家族は手術を受けることを承諾する。
こうしてチャーリィは人間に対する臨床試験の被験者第1号に選ばれたのだった。
手術は無事に成功。
チャーリィのIQ徐々に上昇し、IQ68→185の知能を持つ天才にまでなった。
チャーリィは大学に通い、知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。
知性を獲得したことに伴い、
これまで友達だと信じていた仕事仲間にだまされいじめられていたことや、
自分の知能の低さが理由で母親に捨てられたことなど、知りたくもない事実を理解するようになる。
チャーリィは高い知能を獲得したが感情は幼いままだった。
急成長した知能と感情のバランスが取ることができなかった。
高まっていく自尊心、
妥協を受け入れられず、
正義感を振り回しした結果、
知らず知らず他人を見下すようになっていく。
周囲の人間が離れていく中で、チャーリィは手術前には抱いたことも無い孤独感を感じるのだった。
ある日、自分より先に脳手術を受けていたアルジャーノンに異変が起こる。
知能が低下していったのだ。
調べていくうちに、
手術は一時的に知能を発達させるものの、
上昇した知能はやがて失われ、
いずれ元に戻ることが判明した。
チャーリィは彼は失われていく知性の中で何を思うのか?
感想
主人公チャーリィ・ゴードン32歳、知能は6歳児並み。
本編はチャーリィの書いた日記という形をでつづられている。
なので最初の文章は六歳児並みの稚拙な文章から
手術を受け知性を獲得し、文章がだんだん知的になっていく演出が面白い。
これ、翻訳大変だったろうな・・・スゲーよ。
その演出のおかげで後半、知性が衰えていくのも読んでてひしひしと伝わってくる。
最後は悩んでいたことも忘れて、他人の悪意とかもわからなくなり、
(本人にとっては)幸せな人生に戻るんだけど、
観測する立場から見るとなんとも言えない悲しい気持ちになる。
こういう結末だとさ、
手術を受けない方が幸せだったんじゃ?
なんて思ってしまう。
昔、どっかの番組で世界最高齢の人を取材したとき、
レポーター「長生きのコツは?」
おじいちゃん「無知であること」
って答えを出してたけど、こういうことだよ。
知っているから悩んじゃう。
最初から何も知らなければ悩む必要すらないんだもん。
解決策を持たない中途半端なのが一番不幸なのかもしれない。
そう考えると、何かが吹っ切れていたほうが幸せなのかもしれないよね。
それがプラスかマイナスかは別としてさ。
とても考えさせられる作品でした。
オススメ!
ドラマ版の話
僕はドラマをあまり見ない。
誰かが見ているのを一緒に見る程度で、一作品も通しで見たことが無いほどに。
なので、基本的にはドラマの話題なんかわかんねーよ!!
なんだけど、たまに『原作を読んでいる』作品がドラマ化すると話題に入れるのでうれしい。
という訳で、いま放送しているドラマ、
『アルジャーノンに花束を』の話題だけはついていけるのだ!!
主人公のチャーリィがさぁ・・・
え?主人公は、白鳥咲人?
だ、誰だテメェ!?