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【功名が辻4巻】東軍に属した伊右衛門は四国を貰う【司馬遼太郎】

『功名が辻』4巻表紙

小説『功名が辻4巻(司馬遼太郎 著)』の感想レビュー。

もくじ

一覧

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【功名が辻4巻】東軍に属した伊右衛門は四国を貰う【司馬遼太郎】←イマココ

あらすじ

関ヶ原決戦―――徳川方についた伊右衛門は、この華々しい戦いでも前線へ投入されたわけではない。
勝ち負けさえわからぬほど遠くにあって銃声と馬蹄の轟きを聞いていた。
しかし、戦後の行賞ではなんと土佐二十四万石が・・・。
そこには長曾我部の旧臣たちの烈しい抵抗が燃え盛っていた。
戦国痛快物語完結偏。

感想

前半は関ケ原の戦い。
後半は二十万石を得て、土佐の平定の話。

一豊のピークは前半まで。
後半は、実力以上の地位を得て、少しずつ天狗になったり、
強大な武力で反乱分子に対して実力行使にでたり。

そのうち、一豊と千代の夫婦間にもすれ違いは出てきて・・・
一豊が死ぬ最後まで夫婦でいたけど、種崎事件で千代の心は離れてしまったのかな?

最後まで楽しく読めたけど、最後まで仲の良い夫婦を見たかった。

4巻でのできごと

関ヶ原の戦い

戦場では大した成果を得られなかったものの、
要所要所の従順さが評価されて大幅加増

一豊土佐藩主に

二十万石になり、土佐藩の藩主に!

種崎事件

長曾我部の残党に手を焼き、
和睦よりも、虐殺を選んでしまった。

高知城完成

1603年高知城完成。
その二年後、山内一豊死去、享年60歳。

千代の功績

「それにしても織田、豊臣、徳川と三代に渡ってよくぞ無事に生き続けてこれたものだと不思議に思う」
「ご運でございます」

「いや、女運ということがある。
連れそう女房の持って生まれた運の光で男の一生は左右されるのだという。
そういえば、俺のような者は当代まれな運をもっている」

織田、豊臣、徳川の三つに仕えた人物は、家康と一豊の二人だけ!

長曾我部の残党に対して、千代は家来にするべきだと勧めるが・・・
「召し抱える?とんでもない」
「かれらはそんなあまい連中じゃない。
わしの入国するのを、刃を磨いて待っている」
「千代は世間があまい」
「叱っているのではない。そこがそなたの可愛いところだった」

(いやだな)と千代は思った。
漢が自分の技能に自信を持った時の美しさというのは格別なものだが、
自らの位階に自信をもった場合は、鼻持ちならなくなる。

二十万石手に入れて、天狗になっている一豊評。
技術に自信と、位階に自信の下りはドキリとさせられる。

一豊、千代夫妻、船で土佐へ・・・

「この土が、土佐だぞ。さまで嫌がることはないのだ」
「そうでした」
「しかも、そなたによって得た、そなたの国だ」

千代の頑張り認められる。
この辺りの夫婦仲が良くなかったけどホッした。

千代、一領具足を雇おうとして一豊に怒られる。

「たとえ、少しずつでも土地のものを召し抱えて行ってやれば、気持ちが和むのに違いありませぬ」

この言葉は一豊に届くことは無かった・・・

一領具足を虐殺したことについて

「申しませぬ。
ただわたくしども夫婦の半生の努力が、
結局は土佐の領民の命を奪う結果にしかならなかったのか、と思うと、
なんのために今日まで生き続けてきたのやら、悲しかったのでございます。
しかしもう申しませぬ。
申しても詮無いことでございます」
「おれが馬鹿で無能だからか」
「早く申しますと、左様なことになります」
と、千代は苦笑した。

本編はここで終了してあとはエピローグが残るのみ。
戦以外でしかも領民を罠に嵌めて虐殺・・・
なんてこったい。

印象に残っている場面

ところが一豊は、味方に付く以上徹頭徹尾味方につく。
城、知行までも捨ててはだかになるお、というのである。
万一見方が敗北すれば伊右衛門は城も領地もなくなる。
当然、家康は利害を超えて感動した。

あとで家康は本田正信と二人きりになったとき、
「合戦は勝ったも同然じゃな」
といった。
家康はあの一言で歴史は変わった。という意味のことを言い、
「おそらく古来、これほどの功名はないだろう」
といった。

一豊、まさかのオールイン。

家康は、戦はまだ始まってないのに勝ったという。
政治的に対局を見れる人はここで勝ち確なんだね。

六万石、従五位下対馬守・・・
そのようなものは浮世の仮着ではないか。
ぬぎすてたところで損得は無い・・・

この肉体もそうさ。

肉体冴え、何処からか来た自分の生命の仮着にすぎない。
去ればまたいずこかへ去る。

関ヶ原の戦いにて。
死を身近に置くと悟りに近い感覚になれる。

小早川家の裏切りが発生

心中、爽快さはない。
裏切者への人としての憎しみがある。
(ばかな)
と、伊右衛門は、敵のことながらも義憤を感じた。
感じながらも、

(これで救われた)

という、我が身の安ど感はおさえきれない。

複雑な感情。 

まとめ

一豊のバッキャローッ!!
最後の最後で晩節を汚しやがって・・・

夫婦仲が良いときは読むペースも早い。
悪くなると、読むペースが落ちる。
僕もなんだかんだで感情移入してたんだな・・・

四巻、楽しく読めました。
オススメ!

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