小説『七人の証人(西村京太郎 著)』の感想レビュー。
帰国したら息子が獄中で病死してた。
息子は最後まで無実を主張。
よし、ワシが無実を証明したる!
あらすじ
警視庁捜査一課の十津川警部は、深夜、帰宅途中に何者かに襲われ誘拐されてしまう。
気がつくと奇妙な場所にいた。
そこは無人島を改装し、世田谷区にある町の一部分をそっくり再現した場所だった。
散策する十津川の前に、七人の男女と猟銃を持った男が現れる。
猟銃の男、佐々木は、息子の信夫が獄中で病死するまで無実を叫んでいた『木下誠一郎殺人事件』の真実を明かしたいと告げる。
佐々木の目的は、証言の信憑性を自らの手で確かめることであり、そのために無人島に犯行現場とその周辺を再現していたのだった。
十津川警部は、客観的な立場から事件を検討させるために誘拐したのだった。
他の七人は、『木下誠一郎殺人事件』の目撃者であり、法廷で証言していた人物たち。
問題を解決しないと離島に迎えが来ないことから、七人は一年前の事件を思い出しながら証言していく。
検証が始まり、事実が浮き彫りになって過程で、佐々木は証言者たちに矛盾点を付き、だんだんと真実が明るみになっていく。
そんな中、離島で一人の人間が殺される・・・
感想
ブラジルで農園を運営していた佐々木はとってもお金持ち。
どれくらい財力があるかというと、離島に事件現場を再現してしまうくらい。
そんな金持ちパパは息子に「嘘をつくな!」と教育してきた。
息子は、犯罪歴があるけど、嘘をつくような男じゃない。
だから、今回の逮捕も冤罪のはず!
・・・すげー思考回路だ。
海外行ってて、息子とは没交渉。
逮捕されたことも知らなくて、
久しぶりに帰国してみたら息子は刑務所で病死。
血のつながりがあるとはいえ、そんな息子に対して、
1/1ジオラマを離島に作って、
当事者たちを無理矢理拉致して離島に移動。
そこから検証して・・・
凄い労力とお金がかかってる。
そこまでして証明しても、判決は覆らないし
もしかしたら本当に殺していたのかもしれないし・・・
理解しがたい動機でした。
物語はこのまま検証して、無実が証明されて終わりなのかな?
って思っていたら、離島でも殺人が発生。
十津川警部はそれも『木下誠一郎殺人事件』に関連していることだろうと推理。
その理由は、七人の証言が佐々木の詰問によって徐々に変化してきたから。
ふとしたことで真犯人が炙り出されないか不安になり、口封じに応じたのでは?
という展開。
一年前の事件を掘り起こしてみたら新たに殺人が発生してしまいまいした。
という悲しいお話。