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【あきない世傳金と銀3 奔流篇】商売が右肩上がりになるものの情を忘れた経営は・・・【髙田郁】

『あきない世傳金と銀3 奔流篇』表紙

『あきない世傳金と銀3 奔流篇(髙田郁 著)』の感想レビュー。

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あらすじ

大坂天満の呉服商「五鈴屋」の女衆だった幸は、
その聡明さを買われ、店主・四代目徳兵衛の後添いに迎えられるものの、
夫を不慮の事故で失い、十七歳で寡婦となる。
四代目の弟の惣次は「幸を娶ることを条件に、五代目を継ぐ」と宣言。果たして幸は如何なる決断を下し、どのように商いとかかわっていくのか。
また、商い戦国時代とも評される困難な時代にあって、五鈴屋はどのような手立てで商いを広げていくのか。
奔流に呑み込まれたかのような幸、そして五鈴屋の運命は?大好評シリーズ、待望の第三弾!

感想

四代目が無くなり、寡婦(未亡人)となった幸がどうなるか?
と思いきや、幸にベタ惚れだった惣次が自分の妻になることを条件に五鈴屋に残っていいと条件を出してきた。
幸は悩んだものの、惣次の妻になることにした。
夫婦で初めての夜を迎えた日、惣次は幸に自分の目標を語る。
・五鈴屋はこのままでは駄目だ
・5年後に江戸へ出店したい
・そのためにまずは内部を変える
・その後外部を変える

内部の業務改革は、
・手代はで一人で毎月8反売ってこい。
・ツケ半年、年二回払いだったのを、ツケ二月、年五回払いに変更する。
というものだった。

毎月8反は、4人×8反=32反。
自分が一人で30反売っていたんだからお前らもそのくらいやれという条件。
自分で売る努力をしないと、上司の指示を仰ぐだけの人間になってまい成長できないから。
という意味も込められている。

ツキ二月は、大阪ではツケ払い文化が浸透している関係で、
半年に一回しか料金を徴収できなかった(これでも年一回払いから改善した)
それにより、店側は、運転資金の獲得回数が減ってしまう。
利用者は、半年分の利子も併せて返済しなければならない状態だった。
それを、二月に一回払いにすることで、利子を少なくし、運転資金も細かく獲得できるという、
win-winの制度で業務改革を行った五鈴屋。

また、本の余白に広告を載せたり、傘に広告を載せたりして五鈴屋の認知度は上がっていく。
従業員たちも最初は四苦八苦していたが次第に慣れ、五鈴屋の経営は右肩上がりに。

そんな中、五代目徳兵衛(五鈴屋)は反物の新規生産事業に取り掛かる。
幸の助言から江州糸に眼を付け、機織り機を購入し反物生産を後押しした。

所が、江州波村に渡した手形の両替商が倒産し、ゴミ手形と化してしまい、
それを知った江州波村の重鎮が五鈴屋に押しかけてきて・・・

ゴミ手形を渡し、

感想の感想

情もなく、自社の利益だけを求めるようになってしまった惣次。
目の届く範囲では、富久や幸が相手先へ上手にフォローしていたが、
目の届かない江州波村での非常な行いに商いが頓挫しかけた。
それよりも、江州波村重鎮に言われた、
「お前は店主の器じゃない!幸のほうが店主の器にふさわしい」
心の底では幸の商売の才能に気づき、嫉妬していた惣次の心は折れてしまう。

サポートという形で経営に携わっていた幸だったけど、
とうとう矢面に立って商売を切り盛りすることになるのか!?
時間以降に期待です。

それにしても、五鈴屋三兄弟は一長一短すぎるだろ・・・

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